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第⑭位 アブラカタブラ ③DHA・EPAサプリ、飲み続けてみよう

コラム 【アブラカタブラ ②大ショック(´д`)n-3脂肪酸サプリに効果なし】で、EPA・DHAの摂取が心筋梗塞後の心血管イベントを減らさないという結果を出した研究を紹介しました。


アブラカタブラ①②④⑤⑥はこちらからどうぞ!


そうしたら、「飲んでたけど、意味がないときいてやめました」というご意見をいくつかいただいてしまってビックリ(゜Д゜)しました

青魚との癒着を疑われても言い逃れできないくらいω3信奉者の私が、EPA/DHAに効果がないなんて口が裂けても言いませんよ~~~

実際、EPA・DHAはサプリメントとして手に入るものの中で、非常に多くの研究がなされており、確実に有意義なことがわかっており、お手頃価格ですばらしい栄養食品です。

EPA・DHAに関する研究は枚挙にいとまがなく、そのどれもが有効性を示唆しています。

今回の研究でも、EPA・DHAが「体に悪いことが証明された」のではなく、こんなに有効なω3脂肪酸でさえ、サプリメントという形態で服用すると、きちんと他の治療をしている心筋梗塞後の患者さんで見た場合、意外にもぐっと結果がよくなるということではない、統計学的にはサプリメントありとなしとで差がないということが出ただけであって、飲まないほうがいいとか、むしろ悪いというわけではありません。

食事の中で魚ごと取り入れる分には、充分、意味があると思って下さい。

それを気にしてコンビニの棚を見ると、「頭がよくなる! 集中力改善!! 受験勉強や残業が捗る!!!」みたいな表現でEPA/DHAサプリメントが販売されています。

同様に、ω3よりずっと研究の少ない様々な栄養食品が、それはすばらしい宣伝文句と友に陳列されており、薬事法の世界で生きている私にとっては、何でもありな感じにまたしてもビックリしました。

たとえばω3には、こんな効果があると宣伝されています。

・心臓の疾患を防ぐ

・脳卒中を防ぐだけでなく脳の若さと健康を維持 (記憶力・冴え・ひらめき)

・関節痛の緩和

・美肌

・脳を活性化するブレインフードとして

・アレルギー対策

・精神安定

これが全部ウソというわけではありませんが、実際に科学的な根拠が「証明」されているのは、主に3つです。

「中性脂肪を減らす」

「血小板凝集を抑える」

「特定の不整脈を抑える」


中性脂肪と血小板凝集はそれぞれ心筋梗塞をはじめ心疾患の発症と関連があり、疫学的にはω3が心筋梗塞の発症を減らすというエビデンスがたくさんあります。

中性脂肪が減り、血小板凝集が押さえられれば、心臓の冠動脈だけでなく、脳の血流もよくなるので、頭が良くなる、うつに良いという仮定もできます。

中性脂肪が減るならダイエットによいともいえそうですよね。

n3系脂肪酸は体の中の細胞膜(全部の細胞に細胞膜はあります)、特に目、脳や精原細胞の重要な構成成分です。

全部の細胞ってことは、37兆個です。(この一文を書くためにおもしろいペーパーを見つけてしまいました。An estimation of the number of cells in the human body

血栓形成、動脈管の収縮・拡張、炎症の調節をする数々のホルモンたちの材料でもあります。

だからこそ心臓病や脳卒中の予防や治療に有効で、自己免疫性疾患(ループス・RA・湿疹など)多くの炎症性疾患に効果があると考えられます。

(宣伝文句はあながちウソじゃないんです)

もう一度、今回の αlpha-omega trial と異なる点を探してみます。

G>J>A の順でトライアルとコントロールの差が大きいです。

場所はイタリア、日本、オランダ。

対象者は11324人、18645人、4837人です。

DHA・EPAサプリメントの摂取量です。

1日あたり、1000mg 、1800mg、400mgです。

アルファオメガトライアルだけは、コントロール群に植物性のαリノレン酸2gを与えているのですが、これは同じn3系脂肪酸です。

今回、あたかもサプリメントの効果がないような結果が出ていますが、魚由来のものである必要がない、という結果とも言えますし、DHA/EPAの量がけっこう少ないように感じます。 このうち、日本のJELISのみEPAの単剤です。

ちなみにDHAとEPAの違いは主にDHAが脳や網膜に取り込まれる(BBBを通過できる)のに対し、EPAが全身性(BBBを通過できない)という点ですね。 頭がよくなりたい人はDHA、一般的な生活習慣病の予防を目指すにはEPAがよいともいえますが、どっちもいいのであんまり気にしなくてもいいでしょう。

含有量はどちらも多い魚(鯖など)が多く、DHAではウナギ、EPAでは鰯が特徴的ですね。


オランダの食生活についてよく知らないのですが、イタリアと日本は世界でも魚由来の脂質を普段からよく食べるほうなんじゃないでしょうか。

その辺のところも関係するのかもしれません。

摂れば摂るほどよいと信じられてきたけれども、今回の4837人の結果では摂ったほうがいいという結果ではありませんでした。

だからといって、当然、摂らないほうがいいことはなく、ご存じの通りn3系脂肪酸は必須脂肪酸です。

植物油の加工工程はn3の構造を壊し、試料に含まれる加工物が増え、野生植物や種子を与えなくなったので、肉類から摂れるn3系はあまり期待できません。

やはり、おいしい魚をまずはしっかり食べることが重要ですが、他の怪しいサプリメント、たとえばWADAが禁止しているメルドニウムとか、ピンクバイアグラとかを飲むくらいなら、DHA・EPAを飲んでもらいたいなあ、と思うのです。

メディアの根拠のない報道に乗らないで、と啓発(本日、啓蒙と書いて、差別用語だと叱られました! 役所的にNGのようです)しているつもりですが、私自身が「正しい」と思っていることが、「統計学的には正しくないと証明」されてしまった今回、事実や結果を批判的に見る目を養ってほしいというつもりで記事にしたものの、しっかり読んで下さった方から「やめます」と告げられて力不足を痛感しました。

たとえばコインを投げて、「裏裏裏裏裏裏」の順で出る確率と、「裏表裏裏表表」の順で出る確率、どちらが多いと思いますか?

あるいはコインを投げて、6回裏が出続けた場合、「これ、なんか細工してあるんじゃないか?」と思いますか?

それが、7回以内に表が出れば10,000円もらえるというゲームでの出来事だったらどう思いますか?

10,000円ではなく、10円や1,000,000円だったらどうでしょうか?

もちろん、景品が変わっても確率は変わらないんだけど、そうは思えませんよね。

「正しいことをいいます」と宣言したからには、誤解を与えないようにしなければいけないなあ。と反省したのでした。

ロトリガ(DHA+PEA;2g)を飲んでみよう!

ロトリガを保険で出すと「高脂血症」のレセプト病名が必要。 臨床や公衆衛生の世界では「高脂血症」という名称はすでに廃止されていて「脂質異常症」になっている。 またしてもレセプト病名の?を発見。 ともかく脂質を測定した履歴などは診断に必要ないので、 「大学受験なのでロトリガ出して下さーい」 という17歳男子とかに 「高脂血症」 と病名をつけてみてもいい。 10年後、彼が結婚を機に民間保険に入るとき、 「何か治療歴や持病はありますか?」 と聞かれるけど、健康のためにお母さんが飲めって言った魚のサプリを飲んでいるだけ。 そのサプリは確かに近所のクリニックでお母さんがもらってきてくれるけど、病気の自覚はないから 「ありませんけど、ときどきクリニックで薬もらっています」 と答える。 民間保険の「病気」がまたレセプト病名だったりします。 どんな薬か問われて、まさかNGだと思わないから見せる、保険の営業は持ち帰り、彼が「高脂血症=心筋梗塞のリスク高い」と知る。 (ちなみにここまで誰も心臓を見てませんし、血圧すら測ってませんし、もちろん症状はありません) で、本人がまったく知らない理由で査定が下がります。 どこかで聞きましたね~~、こんな話。 健康のために医者に10年間処方してもらっていた薬で選手生命の危機。コラムはこちら。 ロトリガの薬価は高く、1錠261.3円。 一ヶ月で7839円。 なかなかサプリメントとしては買う気にならない額です。 しかし、再診で90日処方したとして、保険を使えば3割負担で2351円/月。 サプリメントを見回すと500mg/日で2000円/月なら、上手な買い物したね~という感じ。 あなたのサプリの値段と用量を教えてください 2g/日ならどんなにがんばっても5000円はかかっちゃうでしょうね。 というわけで皆さん、せっかくなんでロトリガを飲んでみましょう!! 新しく脂質異常治療薬が発売されれば脂質異常が増える、抗うつ剤が発売されればうつ病が増える、というのはからくりでも何でもなくて当然だとわかりますね!

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