ヘルシーカンパニー経営(心陽式健康経営)用語集

ヘルシーカンパニー経営は、心陽独自の経営哲学や宗教ではなく、古今東西の社会が、途方もない知恵と財力と時間を投じて確立した科学的エビデンスなど、普遍的な原理原則に基づいて理念や方針を整理した、ひとつの経営戦略スタイルです。

公衆衛生や臨床医療の専門的な研究からヒントを得ているので、どうしても表現が難しくなってしまいますが、勝手に言い換えるわけにもいきません。

ヘルシーカンパニー経営の実践は、簡単なHPPに取り組むだけで可能で、特に難解な専門用語や統計知識に習熟する必要はありませんが、いくつかの用語をこちらで無責任に解説しますので、読み物としてお楽しみください。

​解説してほしい用語のリクエストもお待ちしております。

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英語で色遊び
ヘルシーカンパニー経営/ROI(Return on Investment)/HPP/公衆衛生と医療/臨床医療/心理社会的環境とソーシャル・キャピタル/WRWB(Work Related Well-Being)/人的資本と人的資源/ポピュレーションアプローチとハイリスク戦略/PAR/EAP/集団免疫/組織の正義(Organizational Justice)/心理社会的安全性(Pshychosocial Safety Climate)/科学的エビデンス/MSOHP/普遍的(ユニバーサル)な原理原則と最適解/Civility/コヒージョン(Social Cohesion)
 
ヘルシーカンパニー経営 Healthy Company Manegement:心陽式健康経営
心理社会的環境への介入で従業員の人的資本を高め、生産性を上げる経営戦略 

従業員の人的資本に投資して、組織の収益を拡大する経営戦略。人的資産を最大限拡大する具体的な方法は、従業員ひとりひとり異なるので、それらに個別に対応するのではなく、自律的に各自の適切な好行動を促すために、心理社会的な環境を整え、モラルを醸成する。組織の正義を示すと従業員は組織を信頼し、互いに礼節を持って信頼関係を強めあい、助け合いながら自律的に好ましい行動をする。構築された人間関係はソーシャル・キャピタルとなり、従業員の心理社会的安全性を高め、ますます自律的に行動する好循環が生まれる。

心陽では科学的エビデンスに基づいたHPPを、組織の個性に合わせてオーダーメイドで組み合わせて、適切なノームを形成することにより、あらゆる企業にヘルシーカンパニー経営を可能にする。HPPの反復による習熟で、企業にヘルシーカンパニー経営を内製することがゴールである。

 

公衆衛生(Public Health)と医療(Clinical Medicine)【Evidence & Validity】

公衆衛生とは、集団レベルで集団内の人間の健康を増進し、疾病リスクを低減(予防)し、生活を支援することです。集団の管理者に対して、組織経済的な実行の妥当性を示して、そのための具体的な施策の提案と、評価を含む実行支援を行うのが、公衆衛生の専門家です。

一方、個人に対して健康を増進し、疾病の発症や増悪のリスクを低減し、症状を緩和し、生活を支援するのが医療で、その提案と実行支援を行うのが医師などの医療従事者です。

公衆衛生と医療はどちらも科学的エビデンスに基づいて提案され、妥当性に基づいて実行されます。科学的エビデンスの多くは、「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学(日本疫学会)」である「疫学」によるので、個人ではなく、集団から得られます。
標準や規範、ルールとなる「型」は、同じですが、対象が集団と個人でちがいます。

クライアントとなるのは、公衆衛生ではその集団の管理者で、医療では個人(患者やその家族など)です。

現在のリソース(資源)や理想的な健康像、優先的に解決したい課題など、組織や個人にとって多様な条件をできるだけ見つけ出し(=診断)、それを加味しながら、行動経済学やコンプライアンスを踏まえて、実践可能性の高い合理的で妥当な提案をすることが求められます。科学的エビデンスに保証される効果がいくら高くても高価過ぎる施策や、魅力的な低価格でもなんら得るもののない施策では困ります。有能な専門家ほど科学的エビデンスが豊富なので、クライアントとの情報の非対称性がある中で、現実的に最大限効果的な提案を行うためには、診断と社会性が重要です。

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​個人レベルの評価は容易ですが、集団レベルの評価には疫学的手法を含む高度な公衆衛生学スキルが不可欠なので、組織の健康増進には医療従事者ではなく、公衆衛生の専門家こそが適任です。

 

心理社会的環境(PsychoSocial Environment)と社会関係資本(Social Capital)

​図は、外の大きな円を企業、内の小さなたくさんの円を従業員とした、模式図です。

人間=従業員を示す丸の数と配置、企業を示す外周はすべて同じです。

​企業の個性=社風や従業員の多様な個性を、一番引き立てているのは、どの丸でしょうか。

​あなたはどの丸の中で、どの丸の仲間と働きたいですか?

​答えは、見る人それぞれかもしれません。大切なのは、正解がどれか、ではなく、あなたがどれを好きか、なのです。

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 A            B            C            D

企業は、外からは、その外周として見えます。

企業の「色」が定まっていないと、外から見て、どんな企業なのか、入社したらどんな社風なのか、わかりません。それをおもしろく感じる人もいるでしょう。

一方で、「企業の色」が明確に定まっていると、入社してからこんなはずじゃなかったと「ハズレ」るリスクが低く、もともと社風に合った、社風に関心のある、何よりその社風を「好き」なメンバーが集まってきやすいでしょう。

従業員は多様だからよいのであって、機械のように画一的に管理して、いわゆる規格品を目指しても、その規格の枠を突き破る才能を押さえるばかりです。心陽では、従業員を同じ色に塗りつぶすような管理を、推奨しません。

心理社会的環境とは、この外周の内側、小さな丸の外側の部分で、その醸成とは、彩色の試行錯誤です。

​「ティール組織」がベストセラーになりましたが、このティールは青緑色、他の組織の特徴もそれぞれの色で表されていましたね。

​大きな丸と小さな丸の間には、会社と従業員、従業員と従業員の無数の「関係」があります。「関係」は目には見えないものですが、業務においては最も価値の高い、無限に強化できる、まさに「投資価値の高い」会社の資産です。

「社会関係資本(Social Capital)」は、関係のネットワークそのもの、相互の「信頼」、持ちつ持たれつやWIN-WIN、三方よしなどの「互酬性の規範(Norm of Reciprocity)」、すなわち「絆(きずな)」を指す言葉です。

​従業員と同じように、組織は生きているので、最適な色はどんどん変化します。時代やメンバーによって変化する、絆が一番強くなるような色を探す毎日が、従業員と企業を成長させます。

心陽は、従業員の人的資本への投資で組織の収益を上げる経営戦略を、ヘルシーカンパニー経営と表現しています。

具体的な施策としてのHPPはまさに、心理社会的環境の醸成、すなわち絆の強化を目的としています。HPPの結果、コミュニケーションが盛んで、格差の少ない絆が醸成されると、従業員各自の自律的な人的資本拡大が相乗的に組織の収益をぐんぐん拡大します。

 

WRWB(Work Related Well-Being)

健康経営は企業が収益を上げる目的で、従業員の人的資本に投資する経営戦略ですが、健康経営という表現から、従業員の人的資本の中でも特に健康にフォーカスした実践を行う企業が多いです。しかし、健康のかたちは多様ですから、具体的な効果やリターンを把握するのが難しいところです。そこで心陽式健康経営、ヘルシーカンパニー経営では、企業が高めたい従業員の健康をWRWBと表現します。これは研究領域で用いられる用語で、医療的な標準とは関係なく、従業員のワークエンゲージメントや企業への信頼感です。企業が従業員のWRWBを高めたいのなら、当然、医学知識や医療技術は要りません。必要なことは、非常にシンプル、従業員に対して明確な業務を与えることと、従業員がその業務を遂行するために必要な支援をすることだけです。ポピュレーションアプローチもハイリスク戦略も関係ありません。

明確な業務を従業員に与えられるのなら、与える経営者や管理職はその業務を明確に理解しているはずなので、その業務を行うための支援がなにかは、よくわかるでしょう。

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たとえば、聴覚が不自由な建築士がCADで設計をするときに特別な支援は不要でも、クライアントとの面談や現場での指示の際には、他の従業員とは異なる支援が必要です。コミュニケーションのための音声文字変換や手話通訳、安全のための誘導要員などは、特別扱いでもなんでもない、公正な業務支援であり、合理的配慮です。

 

人的資本(Human Capital)と人的資源(Human Resources)

先日、ある企業のあるプロジェクトが完結する際に、「このプロジェクトを通じて、皆さんは大きな人的資本を得ることができましたね」と挨拶したところ、議事録に、「このプロジェクトのおかげで、会社は大きな人的資源を得ることができた」と書かれていました。あながち間違いではないのですが、多くの方にとって、「人的資本」という概念はまだ、一般的ではないようです。

一言で言うと、​人的資本は人の中にあるもので、人的資源は人そのもの。人的資本の管理者は本人で、人的資源の管理者は組織です。

ビジネス人々の付き合い

人的資本:個人の財産・個人に付帯

​WRWB、健康、スキル、知恵など

人的資源:企業の財産・組織に付帯

​人そのもの(ヒト・モノ・カネのヒト)

人的資本は人が会社を移れば、その人と一緒に次の会社に移る財産です。一度、手にした財産は仕事を変えても、年をとっても、家庭でも、地域コミュニティでも、ずっとその人にくっついています。PHR、EHRを含む健康情報、業務上の知恵や知識、技術などのスキル、キャリア、学歴、職歴、お金などすべての財産が含まれますが、無形の資産を指すことが一般的です。
心陽では人的資本を、WRWBそのものと捉えています。

従業員個人の財産である人的資本を、組織である企業の投資対象とする健康経営は非常にユニークな発想ですが、企業を構成する従業員は多様なので、機械を管理するような画一的な方法はむしろ非効率的です。妥当な戦略で行うと、従業員は自分の財産を増やしてくれる企業に好意を持ち、信頼し、自律的に人的資本を拡大し始めます。

多様な従業員がそれぞれ、自分に合った方法で自律的に人的資本を獲得していくと、人的資源が質的に増えて、企業の資本が拡大することは容易に想像できるでしょう。人的資本の集合は、質の高い人的資源になると同時に、企業内外の社会関係資本(Social Capital)になります。

従業員の人的資本に投資して、企業の収益、つまり、ヒト、モノ、カネ、情報などのあらゆる企業の資源を拡大する経営戦略が健康経営です。
拡大した人的資源を管理(HRM:人的資源管理)する舵取りは人事部門が適当ですが、健康経営は誰がやってもいいんです。

 

ハイリスク戦略とポピュレーションアプローチ(Population Approach)

従業員のWRWBを高めるのには、医学知識や医療技術は不要です。そのうえで、非医療的手段で従業員の健康、WRWBを高めるには、ハイリスク戦略とポピュレーションアプローチという2つのアプローチがあります。まず医療とこの2つのアプローチのシンプルな違いは「医療か非医療か」です。医療とは、特に、日本の制度上の保険診療とは、特定の病名の疾患を罹患する個人に対して、オーダーメイドで行います。医療として認められるためには、科学的エビデンスのあるしっかりとした効果と安全性の検証など、複雑な手続きが必要で、専門家しかできません。

当然ですが、病気を治すため、症状を軽減するための医療は企業ではできませんし、する必要もありません。

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​ハイリスク戦略は、なんらかの疾患に罹患するリスクの高い集団に対して、そのリスクを下げるため、つまりその疾患の予防をするために行う健康対策です。メタボリック症候群の従業員に行う保健指導、長時間労働者に行う産業医面談など、一部はコンプライアンスとして確立しています。

ポピュレーションアプローチは全従業員に対して行う疾患予防及び健康増進で、地球温暖化対策などSDGsにつながる普遍的でユニバーサルな対策が多いです。

医療、ハイリスク戦略、ポピュレーションアプローチの順で、エビデンスレベル、効果、価格、実行の難易度は高いことが多いです。医療の場合は専門家や医薬品などで、コストや難易度が高くなりますが、ハイリスク戦略の場合はハイリスク者を選別する工程が増えるため、その分、複雑で、難易度が高く、​当然割高になってしまいます。​

心陽では特に、効果及び安全性のエビデンスレベルが医療と同水準に高く、実行の容易で一切、専門性を必要としないポピュレーションアプローチのHPPのみを自信を持って、ご提案しています。

 

PAR(Population Attributable Risk)
 

PARは人口寄与危険度とか集団寄与危険割合とか、いっそう意味がいっそうわからなくなる日本語で訳されます。

ある集団に対する集団レベルの介入が、集団にどれだけの効果をもたらすかという指標です

​このPARを心陽が重視する理由は、ROIの算出に必要だからです。

PARは

 RR(Relative risk / Risk Ratio / リスク比)

 リスク因子の発現率

  という2つの要因によって決定します。つまり、

 特定のリスクに対する影響の大きさ

 特定のリスクが発生する頻度

  で決まります。

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たとえば、離職率2%の500人の企業が離職率を減らすサービスの導入を検討します。従業員全体より離職リスクが3.5倍高い10%のハイリスク群の離職リスクを半減する(A)と従業員全体の離職リスクを25%減らす(B)のそれぞれのPARを見ます。

​(A)0.035(2%の3.5倍のリスクを半分にする)✖0.1(ハイリスク者の発現率)= 0.0035

(B)0.015(2%のリスクを75%にする)✖1.0(全従業員)= 0.015

これは、集団全体の効果を見ると、(B)のポピュレーションアプローチ策のほうが、(A)の4倍以上の効果があることを意味します。

実際には、(A)の場合、ハイリスク者内で予測される3.5人の離職者が1.75人になり、それ以外の450人の離職者は6.5人のままで全体では離職率が1.65%に下がります。(B)では、離職率が1.5%に下がります。ただし、全員がなんらかの離職リスクが下がるための介入を受けることは、全員のWRWBが大きく成長する期待があります。

それまで離職関連コストが一人あたり200万円かかっていたとすると、HPP(A)では350万円、(B)では500万円の収益が得られるので、それぞれのHPPの価格が150万円と100万円だった場合、ROI(A)は200万円、ROI(B)は400万円になります。

たとえば人間工学的に、どんな体型でも4%の身体的パフォーマンスを向上する中敷きを購入する場合、RRは1.04、リスク因子の発現率は1.0になるので、PARは1.04、500人の従業員の身体的パフォーマンスによる収益が1億円あるとすると、インソール1足あたり8,000円未満なら、投資価値があります。

 

EAP(Employee Assistance Program)

EAPは従業員の健康を支えるプログラムです。EAPを主要なサービスとするビジネスはたくさんあり、特に従業員のメンタルヘルス向上を目的として、依頼する企業が多いようです。

ヘルシーカンパニー経営(心陽式健康経営)のHPPは、もちろん、EAP機能を包括します。
職場内の心理社会的環境への介入はもちろん、WRWBに影響を与えうる職場外の課題についてもサポートします。働く人の健康は疾患以上に、恋愛やお金の問題、家族の事情など、心理社会的な要因に修飾されるからです。とはいえ、一般的なEAPサービスとの最大の相違点は、心陽が医療機関連携であることです。
下記のコアテクノロジーのうち、4と5のプロセスを経ずに、すぐに必要なメディケーションに進めます。さまざまな健康評価実施事後措置のすべてを、最後まで一気通貫に実施できます。

若いビジネスウーマン

1.WRWB向上に関するコンサルテーション、トレーニング、援助と社員への啓発活動

2.職場外要因の秘密厳守で迅速な問題発見とアセスメント・サービスの提供

3.建設的コンフロンテーション、動機づけ、短期介入的アプローチによる課題認識促進

4.医療的介入のための内部または外部機関斡旋と観察、フォローアップ

5.治療等の医療関係機関委託や契約のコンサルテーション

6.医療保険コンサルテーションと社員の医療保険サービス利用促進

7.組織や個人のパフォーマンスへのEAPの効果を確認すること

8.EAPサービスの効果評価

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Social Cohesion

コヒージョン…なんて言葉に近づく日を一切、予想していなかった50年弱でした。

OECDは、1)Social Inclusion 2)Social Capital 3)Social Mobility の3つの視点でSocial Cohesionを、評価するそうです。なんのことやら…

インクルージョンは全員参加です。「弱い人も仲間に入れる」的な定義が多いのが気になりますが、弱いか強いかなんて、尺度によって多様です。オールブラックスでもイモムシラグビーではこてんぱんにやられます。ともかく、みんなでやろーよ、ということがひとつ。

​Social Capitalは、さんざん言及しているので飛ばして、Mobilityは、社会の中のいろんな場を行き来できる自由です。場ごとの個性はあっていいけど、出入りは自由で。蛙の子が蛙じゃなくてもいーんです。

ざっくりと、所属している社会、コミュニティを好き~まあまあ居心地いい、うちのチームっていいとこあるじゃん、と感じている状態で、けっこう大切なのが、コヒージョン。

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