世界経済フォーラムは7月13日、「ジェンダーギャップ指数2022」を発表しました。
調査対象の146カ国のうち、日本はG7とアジア・太平洋地域のうち最下位の116位でした。
ジェンダーとは、生物学的な性別ではなく、社会的・文化的につくられた概念を表すため、社会や文化に強く紐付く国ごとの差異を評価する意味があります。
経済(Economic Participation and Opportunity)、教育(Educational Attainment)、医療へのアクセス(Health and Survival)、政治参加(Political Empowerment)という4分野で、男性を100として、女性の現実を%表示してスコアを算出します。
日本の女性は男性に比べ、65%しか活躍できていないという結果になりました。トップのアイスランドは90.8%、トップは100%を超えると思っていたので、むしろ意外でした。
分野別に日本の結果を見てみると、教育や医療へのアクセスが充分に高い一方で、管理職や政治家の数に格差が大きいです。
とはいえ、教育や医療は全体で見たときのばらつき自体が少ないということも注目しなければなりませんし、医学部の女子学生に対する制限などを見ると、全然ないとは思えませんけど、基準は各レベルの進学率なので、100%になっちゃうんですね。(このコラムの最後に、すべての指標と結果を載せます)
また、比べているのは国内の男性と女性なので、たとえば日本の男性年収51,730米ドルに対し、女性の29.26米ドルが56.6%という結果になりますが、ルクセンブルグの男性年収131,050米ドルは日本男性の2.53倍、女性年収93,650米ドルは日本女性の3.2倍、ルクセンブルグの収入格差は71.5%となり、性別格差以上に国家間格差が高いことを示唆します。
以前、睡眠時間との関係を示しましたが、一人当たりGDPとの関係がこちらです。
日本は諸外国に比べ、睡眠におけるジェンダーギャップが大きいです。
文化的・社会的背景として、労働状況にかかわらず、家庭での役割負担が大きい女性が睡眠時間を削るという傾向があります。
生物学的には、男性と女性には明らかな違いがあり、特に女性のライフステージには、月経の始まりと終了、妊娠、出産、育児、更年期とダイナミックな変化があります。このライフステージと健康には大きな関係がありますが、医療や科学は依然、男性のデータを基準にしているという問題もあります。そのため、特に性差やジェンダーに基づく医療が遅れています。アメリカ、オーストラリア、EUでは、臨床試験の参加者には女性を含めることが規則で定められ、特段の理由がない限り、性別に区分することが求められています。
次回のコラムでは、生物学的な女性のライフステージと睡眠・生体リズムに注目します。
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