朝活警察にご用心!
- 石田陽子 Yoko Ishida
- 4月14日
- 読了時間: 4分
朝活が成功への近道!?
こんな文句で、早朝異業種交流会に誘われたことがあります。
朝活と社会的な成功を結びつける情報はメディアにあふれています。早起きして勉強や運動をして、人生を劇的に変えよう、というわけですが、夜より、朝のほうが仕事に向いているという「朝活神話」に科学的な根拠は、ズバリ、ありません。
確かなのは、人間、睡眠負債の分だけ認知機能が鈍くなる、ということだけです。
前日までの睡眠負債がない人なら起床後15時間以降、負債がある人なら負債時間+起床後の時間が15時間以降は、生産性が落ちます。
負債のない人が、朝起きれば、朝のほうが夜より生産性は高いですが、15時間以上の負債がある人は、起床直後から生産性はいまいちですし、負債のない人が夜起きれば、しっかり生産性は高いです。
にもかかわらず自己啓発界隈では、朝活を推奨するあまり、まるで「朝活警察」のように、“早起き=正義”という空気を押しつけるムードすら漂っています。
もちろん、早起きが体質に合う人もいます。でも、万人にとって正解とは限らないのです。 人間には、持って生まれたクロノタイプや睡眠覚醒リズムがあります。
自分の生産性にとってベストな時間帯はひとそれぞれですが、起床後(睡眠負債時間)10時間以内が生産性マックスなのは全人類共通、だからこそ、人によって多様な、自分にとってのベストな時間帯と、起床後10時間以内を一致させることが、【睡眠マネジメント】です。
朝活神話信仰をやめて、自分リズム最強説信奉に乗り換えてください。

睡眠中は、”意識ゼロ”
そもそも睡眠の最大の特徴は、「意識がない」こと。
私たちが、睡眠について、あれこれもやもやするときは、必ず起きている(覚醒している)のです。
だからいくら良い睡眠とはなにか、を勉強しても、睡眠中に、睡眠そのものを、リアルタイムでコントロールすることはできません。
できるのは、覚醒中に「眠りに向かう準備を整える」ことだけ。
つまり、無理に早起きを目指すより、まずは自分の自然なリズムを尊重することが大切なのです。
自然なリズムでは、起床後10時間以内は、ストレスホルモンの日内変動に加え、いろんな刺激がストレスとなり、自律神経において交感神経が優位になると同時に、起床時の最高の状態から減衰していく中枢神経の脳が司る認知機能が保たれている状態なので、身体的に高いパフォーマンスを理性的な認知機能で合理的に活用できる状態です。 そこから自律神経は徐々にリラックスモードの副交感神経優位へ移行し、理性は枯渇して認知機能は鈍り、夜には自然に眠りにつく――これが理想的な流れです。
ところが現代社会では、夜遅くまで仕事やSNS、動画視聴に追われ、交感神経を無理やり活性化させ続ける生活が当たり前になっています。
本来、中枢神経も自律神経も休むべき時間帯に、無理やり覚醒し続けていることが、睡眠の質を落とし、日中の不調や疾病リスクを高める大きな原因になっているのです。
究極のブレインデトックス【グリンパティック・システム】
深睡眠(最も深いノンレム睡眠)の間にだけ、脳の老廃物が除去され、認知機能が回復します。
脳は普段、ニューロンの電気的な活動により認知機能を担当していますが、深睡眠の間は電気活動はなくなり、ともかく脳が掃除されてきれいになります。
しかも、この深睡眠は睡眠の前半に集中しているため、無理に朝活するために寝不足になってしまうと、最も重要な回復タイムが削られてしまうのです。
もちろん、毎晩しっかり深く眠れていて、なおかつ自然に早起きできる人にとっては、朝活も効果的でしょう。でも、無理に眠気と戦いながら早起きして活動するのは、自己啓発どころか、むしろ“自己破壊”の場合もありますよ~~
私たち人間は、鳥や魚のように、覚醒と睡眠を同時にできる生き物ではありません。 だから、気絶や失神のように突然、寝落ちすることを避けるための安全機構が充実しているのですが、それが命にとっては危険な夜ふかしや徹夜ができてしまう理由でもあります。
本来、ベッドに入ってから目を閉じてゆっくり15分程度、脳と心を和らげながら眠りに就き、朝には睡眠のすべての仕事をしっかり完了してから、自然に目覚める。
そんなシンプルなリズムを大切にすることこそ、本当のパフォーマンス向上につながるのです。
「もっと早起きしなきゃ!」と焦る前に。「私はちゃんと眠れているかな?」と、自分自身に優しく問いかけてみてくださいね。
朝活警察の声に惑わされる必要なんて、まったくありません。
無理な早起きで意識高い系異業種交流会に参加するのもいいですが、少なくとも私にとっては、前半に比べ眠りの浅い明け方の睡眠を利用して、何度か目覚めても、ギリギリまでベッドで二度寝を楽しんで、起床後の創造性を高める朝活のほうが、ずっと価値があります。
【自分リズム最強説】で、いきましょう!
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