ネイルアートと睡眠検査

最終更新: 2020年11月22日

ネイルアートとMRI


こんなときにネイルアートなんてふざけるな!と思う方も多いでしょう。確かに今は手指と手指を触れ合わせて密接しながらしかできないネイルは避けるべきときでしょう。


とはいえ多くの人々がお金と時間をかけてネイルアートを楽しむのは、バイオ・サイコ・ソーシャルの健康が向上し、パフォーマンスが高まる効果があるからです。


普段からネイルアートを楽しむ多くの方々が今、少し長い間、サロンを訪れることができないので、普段より短く、自分でも整えやすく、飽きのこないデザインにしたり、リモートワークだからこそできる気分を上げる派手めにしたり、限られた範囲内で工夫しています。


行動が制限される今だからこそ、自分なりに感染対策をしながらネイルアートを楽しむのは、健康好行動だと考えます。

それでも、事前に説明がなかったのに、ネイルをしているからと予約していた健診を断られた方がいるそうです。

こんなときにネイルなんて不謹慎なのでしょうか? そうは思いません。

ちなみに私のネイルはこんな感じ(笑)せめてネイルアートくらい楽しみましょう!

ネイリストさんの間では「COVID-19に感染したら、MRIを撮らなければいけないけれど、ジェルネイルをしているとMRIが壊れるので診察してもらえない。だから今、すべてのジェルをオフしなければ!」という噂があるそうで、ご質問を受けました。

・・・・・・ちょっとびっくりしちゃったんですが、解説します。


まず、肺炎像はCTが見やすいですし、まずは胸部レントゲンというパターンが多いので、いきなり新型コロナウイルス疑い→MRIにはならないでしょう。


MRIは「すんごい磁石」みたいなものです。

ジェルネイルには金属が含まれている場合があり、それがMRIの画像を干渉(邪魔)したり、磁石に引き付けられた金属が発熱してやけどしたりするリスクがありますので、MRIの検査を予定して受ける際にはジェルネイルをオフしていくことをお勧めしますし、そのような説明があると思いますので従って下さい。 緊急の場合、ジェルネイルは指先についているので、干渉を避けるために一番観察したいところから離すことも可能ですし、指先の火傷よりも重大な理由で撮影しているので、ジェルネイルがあるから撮影しないということはありません。

MRIはネイルくらいじゃ壊れませんし、MRIがいくら高価でも人命のほうが大事、医療従事者はみんなそう考えているので、安心してください。


ネイルアートと酸素飽和度

健診でもCOVID-19でも予定手術でも緊急手術でも救急外来でもネイルアートが問題になるのは、酸素飽和度のモニタリングです。

酸素飽和度は充分な酸素が体中に行き渡っているかどうかを知るための検査です。 空気の中には酸素が21%含まれますが、同じ濃度の酸素を吸入しても、呼吸やガス交換に問題があると、生活するために必要な十分な酸素が届かない場合があります。

呼吸は十分な酸素を体に届けるのが目的で、その目的の達成度合いを知るのには、呼吸苦の症状の有無だけでは不充分で、実際に体内に酸素がどれだけ届いているかを観察することが大事です。

症状が強くても、たとえば過呼吸発作のように充分な酸素がある場合もありますし、症状がなくても低酸素が進行すれば深刻な転機を招きます。

実際に知りたいのは、各臓器に酸素を届ける動脈血中の酸素濃度ですが、そのためには動脈血の採血を行わなければなりません。

酸素飽和度は採血という出血や感染のリスクを伴う侵襲的で医療職にしかできないプロセスやおおがかりな分析用器械がなくても、誰でも簡単に一瞬で動脈血中の酸素濃度を予測できるたいへんすばらしいモニターです。

セバリングハウス先生という麻酔科医が今から70年くらい前につくりました(拙著「水妖の森」48ページ参照)。

今の形のパルスオキシメーター(酸素飽和度計)は日本でつくられました。世界で最初に全身麻酔で手術を成功させたのも日本人です!

麻酔科医がつくったことから想像がつくように麻酔科医にとって麻酔中、手術中の最も大切なモニターの一つです。また、私は現在睡眠治療もしているので、ここでも酸素飽和度モニターが非常に活躍します。

診察やセミナーでは、皆さんに実際に息ごらえで酸素飽和度がどれだけ低下するのか確かめてもらっています。おもしろいですよ!

酸素を運搬するのは血液中、赤血球中のヘモグロビンですが、このうち、酸素を運搬しているヘモグロビンを酸化ヘモグロビン、酸素を運んでいないヘモグロビンを還元型ヘモグロビンといいます。下の図のように、ヘモグロビンはその種類によって吸光度が異なりますので、波長660nmの赤色光と940nmの赤外光を当てて、酸化ヘモグロビンの全ヘモグロビン(酸化ヘモグロビン+還元型ヘモグロビン)に対する割合を測定します。

動脈血はその拍動で探しています。

通常98%以上です。

図のようにクリップ状のモニターで爪を挟んで、爪と手指の表面の間に二種類の光を当てます。波長の異なる光を当てて指の奥の動脈血中のヘモグロビンを皮膚の上から測ろうとしているのだから、そこに光を邪魔するジェルネイルがあると正確に測れないことはイメージできるのではないでしょうか。

富良野の消防士さんが面白い実験をしていて、こちらによると、ジェルネイルをしててもなんとか測れる的な結果が出ています。


私は20年くらい、毎日のように酸素飽和度を見ていますが、実際にジェルネイルをしてても測れる場合も多いです。金属系のミラーネイルや黒、赤、紺などの濃い色は測りづらいです。ちなみに、この全指ミラーネイルのド派手ネイルでも、しれっと酸素飽和度は測れました。ストーンなどの装飾もないほうがよいです。 また、図を見ていただくとわかるのですが、極端に爪の長さが長いと光の通り道が爪だけになってしまって、動脈血中の酸素飽和度を測れません。長い爪は医療従事者や自分自身を傷つける可能性もありますので、もし、いつ病院に行っても嫌われないようなネイルにしたい、という場合は、ぜひ、長すぎる爪を避けて下さい。

クリアであれば問題はありませんし、基本的には1本モニターできればいいので、左右の人差し指か中指だけでもクリアにしていればなんとかなります。

ただし、予定手術の場合など、院内のオペレーションとして「オフ」を原則としている場合もありますので、そこは指示に従って下さい。医療従事者がすべて、酸素飽和度モニターのしくみやジェルネイルの性質をわかっているわけではありませんので、予定受診(検査・手術も同様)の場合にはオフを基本として下さい。


急変で病院に運ばれたときに困らない範囲でアートを楽しみたいという方は、クリアの指をつくることをお勧めします。

ただし、できるだけお化粧やネイルなどの装飾を外して医療機関にいらしていただきたい最も重要な理由は、特定の検査への影響ではありません。

医療従事者はあらゆる情報をヒントにするため、その人の肌や爪の性状も診察しています。

礼節として身なりを整えていらしてくださるのはたいへんありがたく、清潔にしていただくのは歓迎ですが、受診の際はできるだけノーメイクで、着脱しやすく指示に応じて動きやすい格好を心がけて下さい。

プローベはクリップ状に限らず、シール状のものもあります。指で測れない場合には耳たぶなどで測ることもあります。

図のようにネイルアートをしたままでも使えるリングタイプのプローベもあります。こちらは指が細すぎるとうまく光が当たらないので、細い方はリングの内側になにか加工しましょう。

こちらのリングタイプはアマゾンで19,800円で買えますので、自分の酸素飽和度を覗いてみてもいいでしょう。次にご紹介する睡眠検査を受ける前に、きっかけとして挑戦してもいいでしょう。

睡眠検査のすすめ

自分の通常時の酸素飽和度ってどれくらいなんだろう?と気になった方に是非オススメしたいのが睡眠検査です。まさにこれこそ、今やるべき検査です。 前のコラムで健診に行くな!と呼びかけましたが、こちらの検査は自宅で行う検査です。

もともと睡眠検査をすべての皆様に強くお勧めしていますが、自分の睡眠を客観視するのはたいへん面白い経験です。


睡眠中に呼吸が止まったり、小さくなったりして、充分な酸素が供給されないと、当たり前ですが眠りが浅くなったり起きたりして呼吸をします。睡眠時無呼吸は充分な睡眠深度が得られずしっかり時間をとっても睡眠不足の状態で疲れが取れない、日中パフォーマンスが上がらないだけではなく、必要な酸素が各臓器に届かずに全身にストレスを与えて多くの合併症を引き起こします。


この検査でわかるのは、眠っている間の呼吸の状態(回数と大きさ)、姿勢(寝相)、酸素飽和度(%)、睡眠の深さ、いびきの回数と大きさなどなどです。

こんなときだからこそ自分の睡眠を見つめ直してはいかがでしょうか。

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