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自覚および他覚所見による睡眠診断と行動変容で叶えるBPS ヘルスプログラムの提案【第29回行動医学会】


12月3日土曜日、大阪大学吹田キャンパス大学院人間科学研究科で開催された第29回行動医学会で、「自覚および他覚所見による睡眠診断と行動変容で叶えるBPS ヘルスプログラムの提案~アテネ不眠尺度、エプワース眠気尺度等による自覚所見と携帯装置を用いた終夜睡眠ポリグラフィーによる他覚所見を総合した睡眠診断に続く、オンライン認知行動療法や治療導入などを介した睡眠衛生習慣の行動変容で叶える健康増進と生産性向上のための企業内プログラムの提案~」という超絶長いタイトルの発表をしました。

さすがに座長の久留米大学、岡村尚昌先生は演題紹介で、副題を省いていました(笑)


ちょうど、12月14日に令和3年社会生活基本調査の結果が発表されましたので、合わせて紹介します。

社会生活基本調査は、2021年10月に10歳以上の125,407人を対象に行われた大規模調査で、コロナ前の2016年の460分に比べ、474分と睡眠時間の平均は伸びました。ただし、OECD諸国平均は505分であること、生理的に成人より長い睡眠時間が必要な10代が含まれていることには、注意が必要です。

コラム「ボケたくないなら眠りなさい ①睡眠時間と年齢」で説明したとおり、人間は成長によって生理的に必要な睡眠時間が変化します。眠っている時間の方が長い17時間睡眠の赤ちゃんから、成人の7~9時間まで成長に応じて必要な時間が減り、成人後は1年に3分ずつくらい短くなります。

そこで年代別の睡眠時間を見てみると、5歳ごとに、10歳~:507分、15歳~:452分、20歳~:487分、25歳~:471分、30歳~:468分、35歳~:455分、40歳~:443分、45歳~:433分、50歳~:426分、55歳~:426分、60歳~:435分、65歳~:450分、70歳~:470分、75歳~:490分、80歳~:516分、85歳以上:557分(下図左)で、本来なら右肩下がりになるはずのグラフが、55歳以上60歳未満の426分を最低点とする逆Jカーブになっていることがわかります。

300分くらい眠れば充分なはずの85歳以上が557分も眠っている一方、600分近く、つまり85歳以上の倍くらい眠ってほしい10代の睡眠時間が、15歳以上20歳未満では452分です! これってすごく恐ろしいことで、前述座長の岡村先生と私の大親分である、睡眠学会理事長・久留米大学学長の内村先生も「日本ほど子どもの睡眠をないがしろにしている国はありません」と警鐘を鳴らしています。 これは、記事中にあるように、大人の時間に子供が合わせて、眠る時間が遅くなるのも理由の一つで、内村先生の指摘するように、小学校の始業時間を遅くするのは解決策の一つだと思います。

この事実を裏打ちするのが、テレワーク(在宅勤務)をしていた人は通勤時間が減少し、テレワークをしていない有業者に比べて、睡眠時間が25~34歳、45~54歳の群では長かったのにも関わらず、35~44 歳の群では育児の時間のみ、通勤群より長いという結果です。

そして残念ながら、似たような社会背景がにじむのですが、OECD諸国で女性の睡眠時間が男性の睡眠時間より短いのは日本、メキシコ、韓国、インドだけです。コラム「睡眠リテラシー第3回 女性のライフコースと睡眠」でご説明したとおり、実は睡眠と女性ホルモンには非常に深い関係がありまして、月経、妊娠、出産、更年期等、女性特有の生理イベントは、睡眠に大きく影響します。そのため、多くの睡眠障害の有病率などは、更年期以降の高齢者では性差が小さくなります。本来は女性にこそゆっくり眠ってほしいのに、社会生活基本調査の結果、25歳~40歳以外のすべての世代で、女性の方が睡眠時間が短かったです。

また、さきほどの世代別睡眠時間で示したとおり、日本では勤労世代の睡眠時間が短く、さらに有業者に限るともっと短くなるので、勤務時間や通勤時間など、働き方の影響も大きいのです。 睡眠は従業員の健康に大きな影響を与える上、働き方が睡眠に大きな影響を与えるのだとしたら、それこそ企業が率先して、従業員の睡眠衛生増進、睡眠課題解決に乗り出すべきではないでしょうか? どうぞ、心陽の睡眠DXプログラムの導入をご検討ください。

今回の統計では、長くなったとはいえ、有業者の平日の睡眠時間は445分、OECD平均より1時間も短いです。また、ある金融機関の過重労働面談対象者(月の時間外労働時間80時間以上)に調査した結果によると、平日の睡眠時間は5時間53分でした。

最近、「6時間眠れば充分」、「最低6時間は眠りましょう」という呼びかけをよく目にしますし、労働者や患者からもよく確認されます。8~9時間に現実味がないためにひろまった基準値(?)だと思いますが、大半の有業者にとって、6時間という睡眠時間は短すぎます。まずは一度、9時間睡眠を1週間継続して、睡眠に対する満足感や日中の覚醒時の自覚症状を意識してみてください。


学会発表時は、ポスターだったので、皆さんから睡眠に対する質問を受けました。必要な睡眠時間やREM睡眠とノンレム睡眠について、簡易検査について等、たくさんの質疑応答がありました。

私が非常に関心を持ったのは、リハビリ中、うとうとしてしまう患者の話です。たしかに脳梗塞後の機能回復には、睡眠が非常に大きな意味を果たしそうです。REM睡眠には、日中のインプットを再構築して、実際の行動につなげる力があります。いくらピアノの練習をしてもつっかかる箇所を、翌日の練習ですんなり弾けるのはREM睡眠効果ですし、体操の内村選手はこの世の誰も成功したことにない難しい技をまず、夢の中で成功させるそうです。ジョン・レノンがイエスタデイを夢の中で創作したことは有名ですよね。また、リハビリ中はいろいろと再構築が必要なので、深いノンレム睡眠中に脳を浄化することも重要そうです。

この辺は一度、勉強してみようと思いました。


掲示したポスターはこちらです。現在、本郷に掲示してあるので、ぜひ、ご覧にいらしてください。


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