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健診結果【心電図異常】所見への対応策の提案

健診心電図異常所見の深い闇


麻酔科医として10年間、心電図波形をモニタリングし続けてきた私が、2008年に産業医をはじめて、最初に激しくびっくりしたことが、「法定健診項目に心電図があるのに、健診事後措置をする産業医の手元には波形がない」ということでした。

身長、体重、視力、血圧、血液検査や尿検査の結果は数値で出ますが、心電図検査はそもそも電気信号を波形にして、立体的な心臓の動きや伝導を評価するための検査です。

それなのに「非特異的ST-T変化」などのレトリックな表現で、産業医が就業判定や受診勧奨をするなんて無理ゲーじゃないか?!と考えた私は、すぐに厚生労働省に電話しました。

「心電図波形やX線画像がないと適切な産業医業務ができないので、制度を変更してください」と。

厚生労働省の電話口の人(当時は現在ほど社会擦れしていなかったので、細かく氏名や役職をききませんでした)は、答えました。

「波形や画像があれば、国民の健康増進につながるというエビデンスがあれば検討します」と。

その5年後、おそらく実務中にそれを思い出して投稿したのがこちらのFB記事です。

さて、この課題を抱えたまま、聞き分けのよい、小回りのきくクライアントと健診機関の組み合わせに恵まれたときには有所見者の実波形を確認するなどして、小さな工夫で実務をしてきました。 ある事業場では全員が右脚ブロックだたので健診機関に乗り込んだところ、技師の属人的な電極貼付位置の癖が原因でした。

とはいえ、これは技師のせいではなく、そういう人的なばらつきの出かねない検査方法を法定スクリーニングとして採用している国の責任だと私は考えています。だから電話したんだけど、相手にされなかった・・・


さて、ある企業で、2022年度の健診心電図異常が前年度までに比べて激増したことに気付いて指摘したところ、健診業者を変更したことがわかりました。それほどじっくり確認するわけでもない過重面談対象者の健診結果で気づくほどの激増、かつ、「ブルガダ症候群(サドルバッグ型)」や「心筋梗塞(前壁中隔)」のような致命的な病名を確定診断してしまうようなコメントも目立ちました。救急搬送時に心電図で前壁中隔の心筋梗塞を疑った循環器専門医でも、診断前に問診や心エコーを省くことはありません。ましてや静かに検査を受けている相手につけてしまえる病名ではないでしょう。


そこで健診業者に、心電図貼付位置の徹底と安易なコメントの撤廃を求めました。


その結果、注意後に受診した約2000名の結果を昨年度の同時期の同人数と比較したところ、【X判定(早急に受診要)+D判定(3ヶ月以内を目途に受診要)】の比率は2022年度の2.673%から2023年度は0.065%と98%近い減少、そのうち疑いを含む「心筋梗塞」という所見件数は10分の1になり、うち、疑いの比率は5%から50%と10倍になりました・・・ホラーですよね。


事程左様に不安定な検査が心電図なのです。


「心筋梗塞」と指摘された従業員は皆、しかたなく半休取って受診し、あるあるですが医療機関で嘲笑気味に「なんともないですね~」と言われ、心理的なダメージと生産性のロスだけを残すわけです。超不健康経営。


受診不要、オンライン診療で完結する、自宅でできるホルター心電図


そこで本題ですが、健診で心電図有所見だった皆様、そういう迷える従業員に具体的な好行動を案内したい真面目で優秀な経営者、人事スタッフ、および産業保健職の皆様にお勧めしたいのが、受診不要、オンライン診療で完結する、自宅でできるホルター心電図「e-skin」です。

麻酔科医にとって心電図波形は、手術中の最も重要な情報のひとつですが、手術の体位や操作部位によって、電極を理想の位置に貼れないこともあります。そんなときはベースとなる入室時の波形からの相対的な変化で心臓の動きや伝導の変化を予測します。


健診の安静時の心電図の最も重要な役割は、イベント発生時に「普段の波形」として相対評価をするための基本波形となることでしょう。そのキーポイントは、電極の貼付位置です。この e-skin は、シャツに電線が埋め込まれて電極位置がブレない点が素晴らしいのです。


健診の心電図が有所見で、胸部症状、心臓病や突然死の家族歴、高血圧等、他のリスク因子がなにもない場合は、まず、このホルター心電図を受けてみることをお勧めします。

心陽クリニックを含む取り扱い医療機関で受診できます。現在、取り扱っていない医療機関でも、新たな設備投資をせず、株式会社Xenomaに申し込むだけなので、かかりつけ医に教えてあげてください。

ちなみに、私とXenomaにCOIはありませんが、親交はあります。

当院はじめ初診オンライン診療を行う医療機関なら、生産性を失わずに受診できます。


申込みのあとは、宅急便で自宅に届くシャツを着て1日過ごすだけです。襟ぐりの大きい服だと見えてしまいますが、男性のワイシャツ&ネクタイならまったくわかりません。シャツは2枚届きますので、途中でお風呂に入って着替えることもできます。都合の良い日に計測して届いた箱に入れて送り返すだけです。

結果が出たら、結果を詳しく説明し、高度医療機関に受診の必要があれば紹介します。


心電図異常だけでなく、一般健診結果のすべてに言えることですが、今回、有所見で二次受診して、特に治療は必要ないと診断されて、来年、また同じ項目で有所見だった場合には、必ず二次受診をしてください。


健診後、わざわざ受診したのに、たいしたことないとか、薬を飲む必要はないとか、別に来なくても良かったとか、心理的に二度と受診したくなくなるような医者の態度に接して、翌年以降、どんどん悪化しているのに放置してしまう方がたくさんいます。

これは100%、医者が悪いと私は思います。医者を代表して謝罪するとともに、できるかぎり医療者の啓発に努めます。


来年度、また心電図異常と言われたら、もう一度、ホルター心電図を受けてみて、昨年の結果と波形をつきあわせてみてください。


また、心電図と睡眠障害は非常に関係が深いです。以下のような研究もありますし、心房細動との関連もあります。簡易検査と同時に受診するのもおすすめですよ!


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