インフルエンザ関連ブログ(2018~2020)

更新日:2020年12月13日

毎年、インフルエンザについてブログを更新してきましたが、「インフルエンザっぽかったら外出しない」という心陽の主張が、今シーズンばかりはしっかり守られそうです。

新しい社会においても、体調不良を感じたら、まずは外出しないというシンプルな方針を、会社の定番にしてほしいものですね。

皆さんは熱の原因がなんなのか知りたいようですが、医療者としては熱の原因によって治療はあまり変わりませんので、熱の原因は重要ではありません。

インフルエンザかどうか確かめるための受診は、これから消えてなくなれば良いと思います。もちろん辛いときは、医療機関を受診してください。


2019年12月25日 インフルエンザっぽかったら外出しない

「インフルエンザっぽかったら外出しない」って就業規則にしませんか?

巡業中の感染力士が話題ですが、毎年、「客観的なルールが必要」と議論される割に、結局、翌年もやってますよね?

そろそろ厚労省がモデル規定をつくったらどうですか?

その前にノームを作ってほしいですけど。

いつもテレビに出る医者とか芸能人とかがまともなノーム形成を主導してほしいものです。

どんなノームかというとタイトルの通りです。

「インフルエンザっぽかったら外出しない」

労働法を知らない医療従事者と医療を知らない人事総務の実務者が共通言語を持たずに行なう伝言ゲームは無意味です。

強制労働の定義は『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、自分の意思によるものでなく、他の者に強要されることによってする労働です。本人に労働の意志がないのに使役することはすべて強制労働で労働基準法第5条に抵触し、10年以下の懲役、または300万円以下の罰金が適用されます。

検査が陽性じゃなかったらインフルエンザっぽくても会社に来い!と言っても、強制労働として罰するのは難しいようですが、パワハラとしては充分成立する、とFBでコメントをいただきました。

「インフルエンザっぽくても出社しろ!」は『パワハラ」です!!

インフルエンザを疑う第一の理由は症状です(症候性診断)。

医療上、疑い疾患はその疾患があるとして治療し、その疾患があるとしてあつかわなければなりません。

医師は治療と並行して確定診断を目指し、一定期間(数年以上)内に疑いが晴れないと厚生局に指導されることが、まれにありますが、疑うことは疑わないことより推奨されています。

医療が絶対でないのは真理だからです。おそらく、ここに非医療者の大きな誤解があります。

インフルエンザの診断は「インフルエンザっぽい」ことで下され、この「インフルエンザっぽさ」を見極める特別なスペックが医者に備わっているわけではありません。

非医療者が「インフルエンザっぽい」と考えるのは、医師が「インフルエンザっぽい」と考えるのと差がないか、むしろ、より可能性が下がるでしょう(医者のほうが非医者よりも「インフルエンザっぽい」と思いやすい)。

つまりインフルエンザっぽい症状があれば、医者としては「インフルエンザであることがあきらか」として扱わなければなりません。それなのに医療機関に出かけて、『会社のきまりがあるから』、「診断書書いて下さい」とか「検査をして下さい」とかいう目的で医療機関を用いるのは、かなり非社会的な行為です。

インフルエンザっぽい人は他人にインフルエンザをうつすリスクがあります。

健康な人のインフルエンザは休養で寛解します。特にワクチンを接種していれば症状も軽くなります。

医療機関への受診はより医療機関を必要とする人々の邪魔になるだけでなく、医療機関にはインフルエンザ感染が致命的になる免疫の低下した患者がいます。その人々にうつすリスクがあります。

もしインフルエンザっぽいけどインフルエンザじゃなかった場合には、医療機関でインフルエンザをもらう場合もあります。

おそらくこのつまらないルールのおかげで、インフルエンザ流行時にいたずらに医療機関を訪れ、インフルエンザに感染する人々がやまほどいるのだろうと推測します。

インフルエンザっぽい以前に、頭が悪いっぽい行為なのです。

インフルエンザっぽいときに病院に行くのはかっこわるい

インフルエンザらしき症状や流行などの環境要因が一切ないのに、たまたま行なった検査が陽性だった場合は、当然、仕事を休むべきですが、休みたいがためにインフルエンザっぽくないのに流行中に医療機関へ行って、うつされたあげく検査は陰性だったことを思うと、最初から「インフルエンザで休みます」と言うほうが賢いでしょう。

「症候>検査」がインフルエンザ診断の根拠で、診断が正しいかどうかは関係ないのです。 正しい診断など、皆さんが期待するほど存在していません。

初診の誤診率が50%だったら、神と言える診断率です。

正しい診断がつく前に自然治癒する症状がほとんどです。

インフルエンザであろうがサボりであろうが、発熱であろうがデートであろうが、本人に働く意志がないものを強制的に労働させてはいけません。

たとえ労働基準法違反にならなくても、パワハラにならなくても、働く気がない人を働かせても生産性に寄与しません。

「休む理由」を尋ねる文化すらなくなればいいと思いますが、その場合も、「インフルエンザを疑った場合は解熱後3日間は就業禁止」というルールを浸透させる必要はあります。しかしルールよりノームです。

社会人としてはインフルエンザっぽい症状がある場合は自らの意志で、医療機関受診による感染拡大やより必要な患者の受診の妨げになることを避けるために自宅から外出しないのが、社会にとってはもちろん、本人にとっても最も有利な選択です。

「インフルエンザっぽいときは外出しない」というシンプルなノームを社会でつくりましょう。

どんな労働者にも集団免疫の話をすると非常に感心され、ワクチン接種の行動変容が増えます。人は誰でも自分が幸せになるより他人を幸せにすること、たった一人より大勢を幸せにすることで大きないきがい、健康、生産性を手に入れます。


休みたいと言う社員をいくらでも休ませたら会社がつぶれる的な低レベルなことをいう経営者はこの世にいないと信じたいのですが、そのために就業規則や労働契約があります。労働基準法や安衛法のほうが上位なので、「強制労働の許可」や「病者の就業強制」は記せませんが、(有給)休暇についてのルールや勤怠の乱れによる処分については柔軟に設定できます。

勤怠の乱れそのものによって規定通りに対処するべきです。勤怠の乱れた理由が、休養を伴う治療によって復職可能な疾病だった場合には健保による傷病手当を利用できますので、粛々と手続きすればいいだけです。会社の合理的配慮や両立支援によって勤怠が整う際に医療的な助言を求める必要があるまで会社に診断書はいりません。

「生きる職場」のエビ工場では好きなときに出勤するようにして生産性を上げています。

「診断書を持ってこい!」って命じてしまう人や、「診断書出された!」ってあわてる人は、診断書を一体、なんだと思っているのでしょう? 疾病の治療に必要な情報を医療機関同士でやりとりするための診療情報提供書には健康保険が適用されますが、会社に出す診断書はなんの治療的意味もなく、なんの法的拘束力もない自費の書類です。さらさらっと書いたら無責任にお金がもらえるので、私も書けと言われればほいほいいくらでも書きます。

診断書見たって、非医療者に共通言語がないんだから意味がありません。こんな場合、どうしたらいいですか?と質問されるほうが医者もやりやすいです。

がんの場合は保険も使えます。

実際のこの保険申請を病院に教えたら、たいへん喜ばれ、従業員はVIP扱いを受けられたそうです(笑)

多様な従業員が公正に扱われるためには、多様な従業員が理解でき実際に従うことのできるルールがなにより大切です。従業員を、インフルエンザの検査を行なうために医療機関に訪れさせないでください。その行為は真に診療の必要な人の命に関わるリソースを奪い、従業員を感染リスクや感染拡大の加害者にするリスクに曝します。会社の生産性も社会の生産性も同時に低下します。

医者が警鐘!なんてテレビでいろんなことが報道されていますが、私も医者です。

「インフルエンザっぽいのはインフルエンザと同じ」です。

確かめるプロセスは無駄。さっさと仕事してください。

どうしてもインフルエンザについてごちゃごちゃ言いたかったら、今から医者や科学者になって従業員が出勤前にセルフチェックできる侵襲がなく感度100%の検査を作ればいいでしょう。感度を100%にするためには特異度を譲りますから、きっとたくさんの合法的(?)インフルエンザ従業員のアブセンティーイズムが生じるでしょうね(*´艸`*)



2018年10月18日 ワクチンと孫

風疹が流行 患者数は1,000人以上

風疹は何年かに一度、日本でも大流行します。平成24~25年の流行に続き、本年はその流行年に当たるようで、既に患者数の報告は今月16日で累計1,103人でした。

心陽クリニックは医者嫌いの患者さんが多いのですが、それでもワクチンのお問い合わせをいただき、今年は風疹、麻疹(はしか)、ムンプス(おたふくかぜ)、水痘(みずぼうそう)など、多彩なワクチンに需要があります。


4歳上の兄が幼稚園から、なんでもお土産に持ち帰ってくれるので、感染症には早熟だった私はすべてを幼児というよりほぼ乳児で体験し、毎回、死にかけておりました。成人してからもO-157をはじめとする日和見感染やジカ熱などの時事ネタ感染にやられっぱなしです。

しかしおかげさまで抗体がしっかりできているだろうと信じていたものの、普段はできるだけ医療機関や医者を避けるビジネスマンたちからの問い合わせの多さに、久々に4種の抗体検査をして、無事を確認しました。

罹患記憶のない健康な患者さんには抗体検査よりワクチンをオススメしています。

抗体検査を無料で提供する自治体もあるようですが、無料で提供するならワクチンにしてほしいものです。私の場合は、ほぼ確実にどの抗体もあるのがわかっていたので検査をしましたが、5,000~10,000円をかけて4種の抗体を検査したあげく、すべて陰性だった場合、すべてのワクチンを接種するのが次の行動として望ましいです。それぞれまた1回6,000~12,000円くらいかかり、2回打つのが確実です。

本年は風疹の流行がありますから、風疹ワクチンかMRワクチン(風疹と麻疹の混合ワクチン)を接種して、毎年自己投資としてワクチンをしていくのはいかがでしょうか。

ワクチンの社会性 集団免疫という正義

ロート製薬、1,700人の従業員に風疹ワクチン接種


さすがロート製薬、これは英断と膝を打ちました。

動画を観ていたらよく知っている管理栄養士が登場! 弊社からも頼めますよ!!

健康経営と福利厚生、産業保健医療とお医者さんごっこ、健康管理とベビーシッティング等々、医療っぽいことと経営っぽいこととの間には誤解や間違いだらけなのが現実です。

自治体負担でも企業負担でも、感染症対策は公衆衛生施策、つまり社会貢献(CSR)なのだから、社会組織単位で金銭的負担をしたらいいんです。

どうしても介入パターンを分けたければ、男性社員は義務教育年次で


経営者に全員ワクチンを勧めると、抗体検査を先行させたがります。ともかく企業のような健康な集団の中で、予防介入をするのにカットオフ値を設けてハイリスクアプローチをするほどバカげたことはありません。

「抗体があってワクチンを受けたくない社員がかわいそう」というなら、「抗体があるのにワクチンを受けたくない社員は自腹で抗体検査をして証明してください」でいいんじゃないでしょうか?

風疹ワクチンの場合は生年によって制度が異なりますので、それで線を引くのはまだ論理的ではありますが、それにしてもコスト面からも「カットオフ値を決める」「測定する」「分類する」の手間をかけるほうが絶対にリスキーです。

集団免疫が世界の健康概念を変革した


しょっちゅう引用する死因の変遷の図です。

ちょうど第二次世界大戦を境に世界の死因が感染症を中心とする衛生要因から、脳卒中、心筋梗塞、がんなどの心理社会的環境要因に変化しました。

感染症というのは感染している(+)かしていないか(ー)のオールオアナッシング、1か0かの2択しかなく、そろそろ感染しそうな予備軍とか、境界型とかはいません。

一方で脳卒中や心筋梗塞などの致命的なイベントの背景となる高血圧に関していうと、高血圧か高血圧でないかのゼロイチでは議論できません。高血圧の人も確実にすべての瞬間に血圧があり、血圧があることは生きていることとほとんど同義です。

詳しくは過去のコラムで復習していただきたいのですが、血圧が高くなるほどイベントは起こりやすいと同時に、脳卒中を起こす人の収縮期血圧で一番多いのは140mmHg弱なんですね。300mmHgで起こす人より、130mmHgで起こす人のほうが多いんです。それはそうですよね、血圧は連続の値で、130台は治療中の人にも未治療の人にもまあまあ多いゾーンです。この世に高血圧は降圧すべきという概念がなかったときから比較的メジャーなゾーンですし、日本の医療では140以上から病名をつけて降圧しますので、未治療130台は温存される上、さらに高い血圧の人が130台に下りてきて、ゾーン人口は膨らみます。人口の高いところでイベントがたくさん起きるのは道理です。


感染症は陽性+か陰性ーかの概念もわかりやすい上、ワクチンで予防することができます。世界中で猛威を振るった多くの凶悪な感染症がなりを潜めたのには、ワクチンの効果が大きいことはご存じでしょう。

それでは世界中の人々がすべて、ワクチンを受けて抗体を獲得したのでしょうか。それは違います。高齢者や新生児、乳児、幼児などの世代により、あるいは疾患や治療により、免疫不全や免疫低下を抱える人々、ワクチンにアレルギーのある人々など、医療上の理由でワクチンを打てない人、移民などで社会的に孤立して国や自治体、企業の集団ワクチンなどへのアクセスを持たない人、そのうち特に貧困や無知などの低SESが理由でさらにアクセスから遠ざかる人など、バイオ・サイコ・ソーシャルのさまざまな事由で全員がワクチンを接種されるのは非現実的です。

しかし、感染症の撲滅に全員がワクチンを受ける必要はありません。上の図で左側の青い人はワクチンを受けていない人です。もちろん、受けていない理由は人それぞれでしょう。なかにはどうしても医療上受けられない人も含まれるでしょう。なんとなく、一番下の4人はそんな人々であるような気がしませんか。その4人を含む組織に2人の赤い感染者がやってくると受けていなかった4人のうち、1人は感染してしまいましたが、3人は感染しませんでした。

現在ワクチンの接種をオススメしているインフルエンザに感染して命を落とすのは、高齢者が最も多く、他には妊婦や赤ちゃんなどです。インフルエンザ感染が命を脅かすほど重篤になる人々の多くが、ワクチンを受けられない理由のある人です。ワクチンを受けない理由を尋ねると、自分は健康で体を鍛え生活を節制しているからと答える人がいますが、ワクチンは自分のためのものだけではないのです。3段目のワクチンを受けていない人の感染率が25%であるのに比べ、2段目のワクチンを受けていない人の感染率は90%と誰一人ワクチンを受けていない集団の効果と変わりません。これはワクチンの製剤の差で起こることではありません。3段目の守らなければいけない青い人々が、黄色い人々のバリアで感染源から隔離されている様子を見て下さい。

そう、ワクチンの予防効果を決めるのは、製剤開発以上に大勢の健康な人の行動なのです。

ジムで体を鍛え、皇居の周りを走るあなたが万が一インフルエンザに感染しても、命に関わることはないでしょう。 そんなあなたは自分が感染しないためではなく、バリアになるためにワクチン接種を選択して下さい。 屈強な健康体を創ったら仕上げに是非、自分のためではなく社会のためにワクチンを接種し、健全な肉体と精神、そして社会(仲間)を同時に手に入れましょう。

「孫ができるんです」

今回お問い合わせ下さった男性は不要な医療はできるだけ受けたくないという信念をお持ちですが、数年前、成人してはじめてお子さんからもらったインフルエンザを罹患、独立専門職のかき入れ時に休むことも捗ることもできず、それこそバイオ・サイコ・ソーシャルの苦痛に七転八倒してから毎年、ワクチンを受けてくれています。


いくら道徳的に、あるいは科学的に正しいことを主張しても、人の行動変容にはきっかけが必要です。

でもこの変容からは常に医療の費用対効果をバイオ・サイコ・ソーシャルの三面で検討する習慣ができ、たとえば花粉症の対症療法も選択するようになりました。

そのため今回のお問い合わせもその一環と考えていたのですが何と、さらに一歩進んだ行動変容へのナッジの主役は初孫だそうです。このような記念と合わせれば本人も家族もこの先、接種歴をしっかりと覚えていられますし、すばらしいメモリアルですね。

お子さんやお孫さんの誕生やご結婚など家族が増えるとき、入学や就職などの仲間が増える際、健康行動をはじめる人が多い理由は、実は人間は本能で、新しい仲間と健全な社会を創ることの大切さを知っているからではないでしょうか。

心陽クリニックでは各種感染症のワクチン接種、抗体検査を承っております。 もちろん、職場の集団接種、集団検査が可能です。いつでもお問い合わせ下さい。

なお、心陽クリニックは完全予約制です。待ち時間ZEROを心がけております。ルールを守ってご受診ください。

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