インフルエンザ関連ブログ(2016~2017)

最終更新: 2020年12月13日

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2016年10月16日

「インフルエンザワクチンって効かないこともあるんですよね?」

それではそもそも「インフルエンザワクチンが効く」ってなんなの? というと、一応、定義があるんです。

インフルエンザワクチンの有効性の国際的な評価基準


参考:EMEA 評価基準(HI 抗体価)

18-60 歳 以下の3 つのうち少なくとも一つを満たすこと

 1) 抗体陽転率

  「HI 抗体価が接種前に<10 倍かつ接種後40 倍以上」

   または

  「HI 抗体価の変化率が4 倍以上」の割合 >40%

 2) 抗体変化率

  幾何平均抗体価(GMT)の接種前後の増加倍率 >2.5 倍 、

 3)抗体保有率

  HI 抗体価40 倍以上の割合 >70%


60 歳以上 以下の3 つのうち少なくとも一つを満たすこと

 1)抗体陽転率

  「HI 抗体価が接種前に<10 倍かつ接種後40 倍以上」

   または

  「HI 抗体価の変化率が4 倍以上」の割合 >30%

 2)抗体変化率

  幾何平均抗体価(GMT)の接種前後の増加倍率 >2 倍

 3)抗体保有率

  HI 抗体価40 倍以上の割合 >60%

「インフルエンザワクチンはどうして効くの?」 という質問の答えは、このマンガが明快だと思います!

「二度目はいつ頃受ければよいですか?」

接種の前に、「大人は一度」とご説明しているのですが、毎度、ご質問くださる方がいらっしゃるので、わかりやすいリサーチを共有します。

ちょっと古い(2009)ので、昨年からの4価ワクチンではなく、3価ワクチンです。

(治験概要)

200人の成人で通常量or倍量接種と1回or2回接種の4群で抗体価の様子を比べてみました。


(結果)

●本件の被験者の性別・年齢は図の通りです。

●接種前の H1N1 の HI 抗体保有者(≧40 倍)は、198 人中 11 人(5.6%)。

●抗体保有率(接種後≧40 倍):4群でたいして変わりはなかった

 15μg1 回接種後では、HI 抗体価 40 倍以上の人が 98 人中 77人(78.6%)

 30μg1回接種後では、HI抗体価 40倍以上の人が 100人中 88人(88.0%)

 15μg2 回接種後では、HI 抗体価 40 倍以上の人が 98 人中 76 人(77.6%)

 30μg2 回接種後では、HI 抗体価 40 倍以上の人が 100 人中 88 人(88.0%)


●抗体陽転率:抗体価4倍以上上昇し かつ HI 抗体価が 40 倍以上の方の割合

15μg1回接種後では 98 人中 72 人(73.5%)

30μg1 回接種後では 100 人中 87 人(87.0%)

15μg2 回接種後では 98 人中 70 人(71.4%)

30μg2 回接種後では 100 人中 88 人(88.0%)

●接種前の抗体価を基準とした抗体価変化率

15μg1 回接種後は 9.28 倍

30μg1 回接種群後 20.97 倍

15μg2 回接種後は 8.65 倍

30μg2 回接種群後 17.75 倍


●抗体有意上昇率:

「HI 抗体価の変化率が 4 倍以上の割合」

15μg1 回接種後は 80.6%(98 人中 79 人)

30μg1 回接種群 92.0%(100 人中 92 人)

15μg2 回接種後は 80.6%(98 人中 79 人)

30μg2 回接種群 96.0%(100 人中 96 人)

というわけで、だからなんなの? という問の答えは、普通の量を1回打つのと、量を増やしたり、回数を増やしたり、どっちも増やしたりするのと、思ったほど変わりはない、というか、普通の量を1回打っても充分、効くよね、ということなのでした。

もちろん予想通り、回数や量を増やすことによって、多少、効き目が増えるようですが、数値としてまったく差が出てない評価もありますね。

ただ、冒頭の問への答えに戻りますと、どの群にも100%という数字がない以上、「効かないことがないわけではない」と言わないわけにはいかないようです。f


2017年10月9日 有給休暇で会社が儲かるエビデンス

Potential Economic Benefits of Paid Sick Leave in Reducing Absenteeism Related to the Spread of Influenza-Like Illness

インフルエンザ有給休暇経済効果という私の大好物ネタばかりを扱ったすばらしい研究が発表されました。

序文と考察を読むだけでもすごく楽しいので、健康経営に興味がある方に猛烈にお勧めです!! (しかも全文閲覧可能)

職場でインフルエンザが流行してしまうことによるアブセンティーイズムを有給休暇ありとなしの場合で比較したものです。

アブセンティーイズムは会社に従業員がいない(休んでる・勤怠表上欠勤)ってことで生じる企業のコストです。 詳しく解説させていただけるなら、いつでも御社にお邪魔します。

有給休暇こそがアブセンティーイズムの元、って浅く考えてしまう経営者が多いのかもしれませんが、この研究によると、有給休暇があることでコストが削減できるという結果が出ました。


どれくらいコストが下がるかというとアメリカ全体で  年間6.3~18.8億ドル です。

びっくりしませんか? とゆーか全然ピンとこないと思いますので、2016年末の全米就業者数の1億5,000万人で割ってみると、42~125ドルです。つまり、一人当たり4,870~14,500円くらいですね。この就業者数は勤労所得または自営所得を有する者の数なので、調査対象より大きな数ですから、この額以上なんだなあって思ってください。非農業部門雇用者対象数が4,700万人程度ですからね。

ちなみに調査の背景には有給休暇制度のお国柄の違いがあります。

日本では労働基準法第39条にしっかりと有給休暇の支給義務が定められています。 日本の有給取得率の低さを論じる際に、必ずと言っていいほど、 「休みを取るのが心苦しい(罪悪感)」 という従業員のメンタリティーが指摘されるんですが、むしろ会社のコンプライアンスを高める行為なので、長時間労働の減少と同様に会社のためになるんです。会社に貢献したいと考えるマジメな従業員こそ、積極的に有休を取得するべきなんですよ。


労働時間は各社員レベルでなかなか調整するのは難しいかもしれないけれど、代休や振休で調節せず、有給休暇をどんどん取って、取得率を上げることも、会社への貢献になるんです。

労働時間の削減で貢献できなくて悪いな~、本当はもっと会社に貢献したいのに~~~と考えるマジメなあなたは、せめて有給を取得してあげましょう。

日本の有給取得率はとても低いのですが、付与日数もとても少ないんです。1988年の労働基準法改正により、最低6日から最低10日に引き上げられても、世界最低水準です。100%取得しても世界的には充分働いています。

米国では有給休暇に関する法的拘束はありません。休暇に関する法律だけを見ると、日本は世界でも非常にすばらしいということは、生理休暇についてのコラムでも書きました。

休暇先進国であるフランスの有給休暇に関する法を参照すると、1930年代には全ての労働者が毎年連続2週間の有給休暇を付与される、通称「バカンス法(正式名称:マティニョン法)」と呼ばれる法律が定められていました。それ以後、有給休暇の付与日数は時代を追うごとに増え、1982年に現在の水準である年5週間の有給休暇を、さらに連続12労働日を超える長期有給休暇を1年に1度以上与えることが定められ、企業の側に有給を計画的に取らせる義務もあるのです。 日本と北米を除いたすべてのOECD(経済協力開発機構)加盟国では、最低でも20日間の有給休暇付与が定められています。 ポルトガルやオーストリアにいたっては35日間です。 国際労働機関(ILO)によって1970年に採択されたILO第132号条約で、労働者の有給休暇は、1年勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)以上とされていますが、日本はこれを批准していません。ちなみに、世界の働き方を提言するILOの189条約のうち、日本が批准しているのはたった26%足らずの49条約です。 労働時間に関するILO条約を一つも批准せず、WHOからは女性が奴隷のように扱われていると警告され、「KAROSHI」が外国でも通じる、そんな国が日本なんです。 ドイツでは6週間までの病欠のみを対象にした有給休暇がが認められています。 デンマークでは病欠期間中、最大120日間まで100%の給料もしくは手当の支払いが定められています。 オーストラリアでは従業員本人だけでなくその家族の看病や緊急事態に対する有給病気休暇まで用意されています。 有給の病気休暇を取り切ってしまった後は無給病気休暇としてさらに2日間会社を休むことも可能です。 この辺、各国の労働の違い、医療の違いはいろいろな資料がありますが、私は以前も触れた映画、「シッコ」をお勧めします。 アメリカでは法規制がありませんが、年間で10日間の有給休暇(paid holidays)が一般的、そのほかの休暇として、有給無給は企業ごとに異なりますが、概ね2週間のバケーション、2日間の特別休暇(忌引きとか、結婚とか、宗教上の休日とか、そういう個人的な休暇)、8日間の傷病休暇というパターンが多いですね。国の法律はないのですが、州ごとの条例では有給の定めがあります。(冒頭引用研究の付表1参照) 研究で言及されている有給は最後の有給傷病休暇についての話題です。 アメリカには法規制がないといっても、半年働いて初めて10日という日本の基準、そしてその最低ラインを選択している日本企業が多いという現状を鑑みると、やっぱり日本のほうが少ないんじゃないかな~~~って思います。 休暇に対する感覚も違いますから、日本ではPSLとPTOと分けて考えるような習慣はないですよね。 また、誤解のなきように最後に強調しておきますが、この研究ではインフルエンザ及びインフルエンザ様疾患のアブセンティーイズムに限定してその価格を計算したものです。 有給休暇によって削減されるアブセンティーイズムはほかにも多くの原因がありますし、プレゼンティーイズムに至っては言うまでもなくアブセンティーイズムの10倍以上の可能性もあります。 また、研究中に引用されているとおり、そもそも有給傷病休暇を設けている企業はそうでない企業に比べて42%も多く職場での集団インフルエンザワクチン接種をしています。健康経営に関わるまともな制度を設けている企業が儲けているってなことが言えそうです。 お後がよろしいようで。


2016年9月25日 インフルエンザワクチン接種後の副反応と妊婦の接種


インフルエンザワクチン接種のシーズンがはじまります


本年のインフルエンザ情報はこちらのコラムを参照してください。

コラムにもありますように、本年度はチメロサールフリーの製剤はありません。

チメロサールは有機水銀の一種ときくと、特に妊娠中の女性はワクチンが恐ろしいものだと思ってしまうかもしれません。

ワクチンに含まれる量で人体や胎児、発生に影響を与えることはないと考えられていますが、気になってワクチンを避けてしまう人がいるので、昨年まではチメロサールフリー製剤を使用しておりました。

これまで、ワクチンの経済効果社会への効果に言及してきましたが、今回は妊婦のインフルエンザワクチン接種についての情報提供です。

これから赤ちゃんを授かる方へ

妊娠中の女性こそ、インフルエンザワクチン接種をするべきだと私は考えますが、世の中にはいろいろなことを言う人がいるので、混乱してしまいますよね。

誰でも生まれてくる赤ちゃんにベストな選択をしてあげたいと思うのは当然だし、お母さんになるあなたにとって一番安心で安全でありたいと周囲の人は願っています。

オーストラリアでは日本の妊娠12週になってはじめて妊娠という診断が下されますが、日本の妊娠は尿中にヒト絨毛性ゴナドトロピンが検出されればポジティブです。だから、ちょうど赤ちゃんがほしくてがんばっている最中の女性は、ずいぶん早く診断されてしまいます。そういうタイプの女性ほど、ワクチンを打つべきか、打たざるべきか、迷っちゃうと思います。

だから、まだ妊娠していないなら迷わず打つことをオススメします。ワクチン接種で妊娠しにくくなることは証明されていないし、理論的にもありえないので、準備しておきましょう。

イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでは妊娠中、優先的に無料接種

イギリスでは妊娠中の死亡原因の11件に1件がインフルエンザワクチン感染によるものでした。(9.1%)

また、インフルエンザに感染した際に集中治療室に入る率が、妊婦では全体の10倍以上になるというデータもあります。

妊娠中は免疫の状態が変化するため、インフルエンザに限らず、感染症が重症化しやすいリスクがあります。

妊娠中のインフルエンザ感染と出生してくる子どもの双極性障害の関係を示唆する研究もあります。

ワクチンを接種することで赤ちゃんに影響があるとすれば、移行抗体の影響で赤ちゃんがインフルエンザにかかりにくくなることです。生後6ヶ月までの感染が41%減少したという北米のデータがあります。

1歳になるまで赤ちゃんにワクチンを打つことはできないので、お母さんが受けておいてあげるのがよさそうです。

インフルエンザワクチンの副反応

そう言われても気になるインフルエンザワクチン接種による有害事象について、国内の報告をみてみましょう。

最新の報告である、2014-2015年シーズンの推定接種者数はのべ51,378,967人で前年より600万人くらい増えていますが、副反応の報告頻度は変わりませんでした。

副反応の報告数は0.0005%(200,000人に1人の割合)、このうち、重篤なものが0.0002%、うち死亡報告数が0.00002%でした。

報告症例の年齢は0~9歳までと70歳以上に集中しており、10歳以上70歳未満で最も重篤な副反応の報告は、2シーズン合わせて1件でした。

死亡報告のいずれの症例においても、専門家の評価によると基礎疾患の悪化や他の要因による死亡の可能性が高いと考えられ、ワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係が認められませんでした。

インフルエンザの感染者数と死亡者数(厚労省HPより)


例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。

国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。

また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。

ワクチンを打たない理由


恐怖を煽るために引用したのではありませんが、インフルエンザワクチンを接種する理由、接種しない理由があり、接種する自由としない自由があります。

でも、特に打たない理由については、誤解があるのかもしれないな、と毎年、感じてしまいます。

特にメディアが扇情的にワクチンを推奨したり、忌避したりするので、多くの人は戸惑ってしまいますよね。

だから企業がデフォルトオプションを作ってください、というのが心陽の意見です。

アメリカの接種率が rhe Healthy People 2020 の目標にほど遠いのは、経済格差が理由だから、もっと無料接種の範囲を拡げなければならないというアカデミックな記述の傍らで、インタビューでは「必要ないから」って回答が一番多いようです。

実際、「かかったことがないから」打つ習慣のない人や、「昨年かかったから」はじめて打つ人が日本でも多いですね。

インフルエンザワクチンを受けてもインフルエンザと診断されることがある ・・・ ◎ 感染予防の保障はできません。感染予防効果の測定もできません。しかし、確実に重症化を防いでくれます。

インフルエンザワクチンは副作用がある ・・・ ◎ 副反応の報告はありますが、インフルエンザ感染予防、重篤化予防という主作用を忘れずに。

インフルエンザワクチンは嫌われている ・・・ ◎ メディアが流布する悪口もヒントの一つにして、好きかキライか自分で判断してください。

インフルエンザ予防接種費用の会社負担


さて、最後はいつものように「オカネ」の話です。

ワクチン接種のような予防のための医療行為にかかった費用は、おかしなことに医療費控除の医療費として申告できません。

健康保険を使わないので、日本の医療費を増やしません。 (インフルエンザにかかった際の治療は、医療費増加の一助になります)

健康保険を使用した場合の自己負担額は会社が払う場合は給与となり、所得税の課税対象になります。

自費で行う予防接種は、業務上必須であり、全社員を対象に希望者全員の費用を負担する場合は、福利厚生費として損金算入が可能です。

健康経営企業には、プレゼンティーズム、アブセンティーズムを最小にする職場の集団接種をオススメします。


2016年7月5日 高級レストランとインフルエンザワクチン接種


60人を超える規模ながら、いまだ産業医の選任はしていないけれども、非常に熱気のある企業からのあるお客様との雑談で話したたとえ話が、手前味噌ですが、ちょっとおもしろかったので、話題にしますね。


すべて事実を元にした話ですが、コラム用に脚色しています。


三つ星レストランでの夢のような食事


誰でも死ぬまでに一度は訪れてみたい三つ星レストラン。 そんな夢を叶えてくれる相手にぜひ、巡りあいたいものです。


世界的にも創業100年を超える企業は非常に珍しいのですが、日本はその100年企業の多さでは世界に冠たるということをご存じでしょうか。


心陽は創立5周年を迎えたまだまだひよっこですが、世の中には創業100年を超える企業も多いですね。

まずはちょっと横道に逸れますね。

日本の企業構成において、世界に抜きんでている点の一つが、創業100年を超える老舗企業の多い点です。 世界中の100年企業のうち、80%を日本企業が占めるのです。 日本の産業を語る上で、これは非常に大きな視点であると感じます。

日本人として、非常に誇らしい事実ですよね。

なぜ、日本に老舗企業が多いのでしょうか。 それは日本の産業、もっと平易にいうならば商売が、日本的な商業道徳の上に成り立っているからだろうと思います。

石門心学が大好きな私は「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方よしや「実の商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり」などの言葉をしばしば引用しますし、「セルフケアで叶える社会貢献」を提唱しています。

セルフケアをするのはエゴではなく、まずは自分が自分の唯一最高の主治医であると知って、相手のため、企業のため、社会のために自分の心身の健康に留意する。 他人の健康を慮ることもたいへん美しい姿勢ですが、医療者ではない限り、自愛を尽くすことこそが慈愛につながるのです。 自らが健康であればこそ、充分のパフォーマンスを発揮することができ、まずは社員が健康である前提でマネジメントされた社内業務をしっかりこなすことができ、結果、企業の生産性を上げることができるのです。

労働法には、「自己保健義務」が記されています。 自らの健康を保ち、万が一、疾病を発症した際には治癒努力に努めることが、労使関係においても、社員の義務でもあるのです。

不易と流行のバランスをとり、各社員が自己保健義務を守り、しなやかな革新で強固な伝統を守る両輪経営の文化が日本の老舗企業を支えています。


社員を第一に考える日本の社長の美しい姿勢


まだまだ老舗ではないけれど、創業15年を迎えたこの企業、創業以来、会社の発展に尽くしてくれた古参社員たちにこのたび、三つ星レストランでの食事をプレゼントしました。

古いデータですが、1996年の日経新聞のデータによると、企業生存率は1年後60%、3年後38%、5年後15%、10年後は5%だといいます。

ものすごーく乱暴にいうと、5年で3分の1程度ですね。

この乱暴さを用いた計算で、弊社が15周年を迎える可能性は10%程度になります。

社員は生まれて初めての、メディアで知ってはいるけれど一生縁のないと思っていたごちそうに、大感激&大満足。

明日からもがんばるぞ! この会社に勤めてよかったと、気持ちを新たにしたのでした。

食事に興味のない社員には、2日間で88,000円のモチベーションセミナーの受講がプレゼントされました。(もちろん勤務として計上)

参加者に刺激を受け、理にかなった講義を聴き、他業種の参加者と切磋琢磨しながらワークショップに参加、充実した2日間を過ごしました。

当日は友達みんなにSNSでどれだけすばらしいセミナーかを宣伝し、講習後に獲得できる未来の自己効力感にワクワクし、自分は生まれ変わったのだという興奮で夜も眠れませんでした。


はじめてインフルエンザワクチンを接種したわけ


さあ、話が逸れるな、と思ってくださった読者の皆様、どうもありがとうございます。

ここでもインフルエンザの社内集団接種(休憩時間)の効果とコスト(インフルエンザワクチン接種のROI)についてはたびたび話題にしておりますが、この青年、創業15周年の元気のある企業に勤める28才が、生まれて初めてインフルエンザワクチンを接種しにきた理由を聞いてください。

彼は元来、健康で、生まれたこの方、大きな病気どころか、風邪で会社を休んだ記憶もありません。

所属する営業部の部長は、「まず這ってでも来い。そのあと、俺がちゃんと帰してやる」と豪語しており、「風邪を気合いで治せないヤツはたるんでる」というのが口癖です。

「インフルエンザにかかったら休まなきゃいけないんですよね?」と部下に問われると

「インフルエンザの診断は医療機関じゃなきゃできないんだから、医療機関に行かなければいいんだよ」と答える始末です。

ちなみに、国の法律でも感染症で出勤することは禁じられており、加えて、ほとんどすべての就業規則にも定めがあり、インフルエンザに感染して出勤するのは違法です。

法律以前に、感染症をばらまくのは社会道徳に反する行為です。

あなたは頑丈で、インフルエンザを気合いで治せるかもしれませんが、妊婦への摂取を拒む医療機関は多く、疾患や治療のため免疫不全の患者さんは、誰より受けたいのに受けることができません。

そういう人々を守るために、欠勤が必要だということを、あなたは、そして、あなたの会社はきちんと理解できていますか。

インフルエンザにかかったら苦しいということを知ると、人は翌年、ワクチンを受ける傾向があります。 実は、インフルエンザワクチン接種理由の第一位は、前年の感染によるものです。

生まれてから一度もかかったことのない、強靱な免疫力を持つ彼がなぜ、接種を希望したのか?


それは、今年、彼は結婚し、奥様はめでたく妊娠、妊婦は接種が受けられないので、愛する家庭に絶対にウイルスを持ち込みたくないという一心で、行動を変えたのです。


結婚相手を選ぶということ


このメモは最近、SNSなどでちょっと話題になっている、お母さんが娘に送った結婚と恋愛の違いです。

さて、自分が女子になったつもりで、2つ(3つ)のエピソードを聴いてみましょう。

「彼がね、すっごい高いレストランに連れて行ってくれたの。めっちゃくちゃおいしかった。超感動!!」

(「彼がね、私のためにものすごい高額のセミナー料金を出してくれたの。 思いっきり生まれ変わって、なんか仕事やる気も出てきた~!」)

「彼がね、風邪一つひいたことないくせに、インフルエンザワクチン受けたの。私は毎年、ワクチンしてるのにかかっちゃうんだけど、今は受けられないから・・・」

さあ、あなたはどの彼と「結婚」したいですか?

恋愛なら私は間違いなく三つ星レストラン!!!

もしくは額の大きさを考えるとセミナーかな?

健康経営の考え方では、勤務時間内のコストは、彼への人件費に加え、彼に期待する時間あたりの生産性に勤務時間をかけて算出します。

時給1,000円で、3,000円の売り上げを見込まれているのなら、(1,000+3,000)×8×2+88,000=152,000円分のコストをあなたのモチベーション開発のために会社がおごってくれたということ。

これはひょっとしたら、三つ星レストランより高価なので、セミナーのほうがいいかも。

太らないし!!

「超うらやまし~、彼氏って金持ちなの??? いいなあ~~~~~~」

となること間違いなしのエピソードですよね。


彼氏ならいいけど、夫だったら?

キミのことが心配だからという理由で、152,000円を散在する夫。

生活は大丈夫???

一方で、インフルエンザワクチン接種料金は3,080円。

彼の気分的にはけっこうな散財。

お小遣いの中でなんとかしようと思っていたらしいけど、そこは山の神が愛の力でカンパしてあげましょう。


なんの話かわかりますか?


勤務先は恋人? それとも伴侶?

こんな人と結婚したいなあ、と思うのがインフルエンザの彼だった場合、企業がリクルートのPRとしても、CSRの実現としても、コストをはたいて福利厚生しようと思うなら、どちらを選択するべきかは明確ですよね。


私なら、愛する家族のために苦手な注射を受けてくれた彼と結婚してよかったな、って心から思います。


一番大切なのはヒト

ヒト・モノ・カネの資源のうち、最も重要なモノはなんですか。


こう問うと、ほとんどの社長が「ヒト!!」と答えます。

よほど成功するか、よほど成功しない社長の一部を除いては。

企業は口汚くいえば「金儲け」で社会に貢献するために存在しています。

人の健康を守るのは医療機関の仕事です。


企業は「カネ!!」と答えたっていいんです。


ヒト・モノ・カネ、どの資源を守るのにも「愛」が必要です。


企業に一番大切なモノは愛、それをはぐくむ土壌となる文化を醸成することです。


2016年10月18日 フルショットオンサイトのすすめ


Improving Influenza Vaccination Rates in the Workplace


インフルエンザは世界で最も身近な、ワクチンで予防できる疾患です。

インフルエンザによるアメリカの年間医療機関治療患者数は約226,000人、年間36,000人が死亡しています。

日本では推定患者数が10,000,000人、死亡者数は10,000人程度です。

いうまでもなく、インフルエンザの感染が死につながる多くの人は赤ちゃんや高齢者で、働き盛りの人々が重篤になるのはまれです。

20歳から64歳までのアメリカ人のうち、半分以上がワーカーです。日本でもそうですね。

感染すれば体が弱り、6日間は休業し、元通りに回復するのに2週間はかかります。

アメリカではインフルエンザによるアブセンティーズムがのべ70,000,000日にも及び、16,300,000,000ドルの損失をもたらしています。

ざっと1/3する雑な方法で、日本では2300万日、1.6億円になります。

だからこそワクチン接種、特に医者の出張による職場での休憩時間を利用したワクチン接種(フルショットオンサイト)は推奨されるべき。


18歳から49歳までのワーカーの3分の1、50歳から64歳のワーカーの5分の1は職場でインフルエンザワクチンを受けていて、予防接種の場として、職場がたいへん適していることは明白です。

2004年のリサーチでは、北米の70%の企業がオフィスでの接種機会をセッティングしていました。

とはいえ、無料で職場で受けられるワクチンの接種率はまだまだ高いとは言えません。

1,000社にわたる調査で、50%以上の接種率を達成した企業は18%というサビシイ結果でした。

従業員1000人以上の54社対象の調査でも50%以上の企業は15%(8社)にとどまりました。

医療職ですら、ワクチン接種率はたった42%でした。

非接種の理由は健康な人はワクチンを受ける必要がないという思い込みや、医者の推薦・啓蒙不足、副反応への不安、医者があまり顔を出さないこと、針がコワイなどでした。

一方で、接種の理由はアクセスの好さとお得感であり、これは企業費用負担による出張接種が最適だと示唆します。

昨シーズンに本人や同僚がインフルエンザにかかった場合は接種のきっかけになります。

したがって、こんな計画が望ましいとされています。

(1)職場のインフルエンザ接種の有用性や便利さを宣伝し、推奨する

(2) 副作用、費用が高い、不便などが少ないことを強調する

(3)インフルエンザ・ワクチンを受ける習慣・企業風土の醸成

これはよく引用するこちらのヘルスプロモーションプログラムの条件に当然ながらよく似てますよね。 HEALTH PEOPLE 2010 1.健康教育  ・情報普及と認識構築に沿ったスキルの成熟  ・ライフスタイルの行動変容 2. 健康文化の醸成  ・組織特有の健康行動への期待を反映  ・健康行動を進めるポリシーの策定  ・ポリシーを実施できるような社会的かつ身体的なサポート環境 3. 組織利益・人的資源インフラ・健康&安全第一環境の三つ巴 4. ヘルス・プロモーションプログラムと従業員支援プログラムのリンク 5. カウンセリングと教育によるフォローアップスクリーニングによる事後措置  ・メディカルサービス利用の最善策提案 Benchmarking best practices inworkplace health promotion. (1) ビジネスとプログラムのリンク (2)重役へのサポート (3)何年かにわたる戦略的な計画 (4)ゴールと目的の進行状況を社員が把握 (5)広範囲にわたるプログラムの多様性 (6)ハイリスク群の効果的な同定 (7)より高い参加率を導く、プログラム参加意欲の高い社員へのインセンティブ (8)アクセスしやすさ (9)効果的なコミュニケーション (10)効果の評価 O’Donnell M, Bishop C, Kaplan K. Art Health Promot Newsl. 1997;1:12. HAPAを使うのも手です。 行動の不確実性について説明すると、多くの日本人はむしろ拒否反応を示してしまいます。 人は、意外に行動に理由を持っていないと言うと、失礼な発言に取られてしまうことがあるのです。 そんなマジメな日本人にはHAPAはけっこう適している方法論だとは思います。 さて、結局このリサーチでは、フルショットオンサイトのショットレイトをあげるのには、以下の3つと結論付きました。 ① 点鼻か注射が選択できること ② おおげさな宣伝 ③ インセンティブ



2016年10月15日  各国のワクチン


外国勤務の従業員のインフルエンザワクチン接種について、お問い合わせを受けました。

すこし調べましたので、共有します。

弊社コラムでご覧になれますように、

使用するのは本シーズン、WHOの流行予想を元に日本が決定した4株の不活化ワクチンです。

A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09

A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)

B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)

B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)

ちなみにWHOのオススメはこちら

A/California/7/2009 (H1N1)pdm09-like virus;

A/Hong Kong/4801/2014 (H3N2)-like virus;

B/Brisbane/60/2008-like virus.

4価の場合 +B/Phuket/3073/2013-like virus.

ワクチンのタイプには他に点鼻できる生ワクチンがありますが、日本ではこれは正規のワクチンとして認められておらず、(未認可)万が一、副反応があった際には補償の対象になりません。

また、国産品はありません。

株は4価ですが、機構が異なりますので、作用が異なります。

国によって認可の制度や内容は異なりますが、注射タイプのHAワクチンについてお答えします。

本シーズンのカナダのワクチンについてはこちらをご覧下さい。

株はこちらの3株です。

A/California/7/2009 (H1N1)pdm09-like virus (A/California/7/2009 NYMC X-181 (H1N1));

A/Hong Kong/4801/2014 (H3N2)-like virus (A/Hong Kong/4801/2014 NYMC X-263B (H3N2));

B/Brisbane/60/2008-like virus (B/Brisbane/60/2008);

日本でも2014-2015シーズンまでは3株でしたが、Bの混合流行が多いため、昨シーズンから4株になりました。

カナダのAタイプと日本のAタイプは一致しているので、Bがブリスベン単独になる違いです。

カナダではワクチン接種は無料でできるはずなので、カナダでの生活が主ならばカナダでカナダのワクチンを受けてください。

その際、補償などはそちらでお調べください。

カナダのワクチンを使用した場合、日本での補償は受けられないと考えますが、この辺は不勉強です。ごめんなさい。

同様にドイツはこちらをご覧下さい。

A/California/7/2009 (H1N1)-like virus

A/Hong Kong/4801/2014 (H3N2)-like virus

B/Brisbane/60/2008-like virus

株は上記でカナダと一緒ですね。

注意に関しても一緒です。


イギリスはこちら

アメリカはこちら

カナダ、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、みんな同じでした。

むずかしいお問い合わせをいただいたおかげで、勉強になりました。

4株の日本はけっこう進んでいるのですね。

補償や医療費についての会社の見解に基づいて決定なさるのがよいと思いますが、

株を見る限り、どちらかのワクチンがどちらかで特別きかないことはなさそうです。

なぜ、日本ではブリスベン2008ではなくテキサス2013なのかについては、毎年11月に国立感染症研究所から選定コメントが出るのでご参照ください。

昨年分はこちら。


2017年11月11日 先達のありがたみ


さて、本日は本サイトのフルショットオンサイト推奨について、大先輩からたいへんありがたいご意見をいただきましたので、うれしさのあまり、共有いたします。

ご意見下さる先達に恵まれるというのは途方もない財産です。特に異端児である私にとっては身に余る幸せです。

40年以上の医師歴、20社以上の産業医のご経験、私のような若輩の学会発表に真摯にお声をかけて下さった、尊敬する大先輩です。

掲載の許可は得ておりますので、ご心配なく。

先輩からのお便り

心陽では「インフルエンザのワクチン接種」を推奨していますが、私はインフルのワクチンはほとんど効果がないと思っています。

従業員数1500余名の企業で2000年からワクチン接種を推奨してきましたが、従業員からは予防効果への疑問が提示されました。

そこで2014年、2015年の2年にわたり、インフルエンザの発症者を接種者と非接種者で比べてみたところ、有意な差はないことがわかりました。

2014年は接種者:非接種者のインフル発症率の割合は4:5とほんのわずかな差(有意差なし)で、2015年は10年に一度の抗原ドリフトが生じ、接種群の方がわずかに発症者が多い(有意差なし)という逆の結果でした。

両者に共通していたのは40歳未満の発症率が高く、40歳以上では低いという傾向でした。

この時からワクチンの効果に対して疑念を持ちました。

その後も健保の協力も得て研究と分析を続けましたが、接種の有無のみならず、性別、年齢、交替勤務の有無、喫煙習慣の有無も含めて発症への相関関係を回帰分析しましたが、接種が予防に寄与しているデータは4年連続して得られませんでした。

11月に接種して、同年12月から翌年3月までのレセプトで抗インフルエンザ薬を処方された方を発症者としました。

今は各企業にワクチン接種を勧めていません。医者の儲けには効果はあるが、インフル予防には期待しないように言っています。

ただ、このことで小児への接種や慢性疾患を有する成人への接種まで否定するつもりは全くありません。

むしろ臓器障害を有する方は積極的に行った方が良いと今も信じています。

返信

インフルエンザワクチンに関するご意見もありがとうございます。

大変参考になります。

予防の効果を測定することは基本的には不可能なので、

「インフルエンザワクチン接種の感染予防効果」について議論するのは無意味だとは思います。

私は職場の集団ワクチン接種をお勧めしていますが、インフルエンザの感染率を減らすためではありません。

組織のヘルスプロモーションイベントとして非常にわかりやすいというのが一番です。

従業員全員と簡単な言葉を交わせるのも有意義だと感じています。

ワクチンの感染予防効果について、ご質問を受けた場合には、効果を証明する手立てがないと答えています。

ただし、ホームページのコラムでも触れておりますように、接種後の抗体価についてはデータがあります。

とはいえ、抗体価と感染の関係も尿酸値と痛風程度の相関です。

昨年は約30社をまわり、約700人に接種を行いました。

もちろんインフルエンザにかかった従業員もたくさんおりましたが、

軽症で済むので、皆、今年も打とうと思うようです。

感染予防効果については、先生のご指摘の通り、判断はできませんが、

健康に関する組織風土の醸成と発症時の軽症化に関しては有効と考えています。

少なくとも健康診断よりは意味があると考えます。

先生と同じように、健康診断で受益するのは健診センターだけと、私もいつも言っています。

インフルエンザワクチンを接種したから、絶対にインフルエンザに罹患しないわけではありません。

健康診断にしろ、インフルエンザワクチンにしろ、タダだから惰性で受けておく、というのは感心しないし、それではなかなか受益できません。

検診を受ける、ワクチンを受けるという能動的な健康好行動を自らの意思として、自分のため、家族のため、会社のため、社会のためにしっかりと選択してほしいのです。

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