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新版 ワーク・エンゲイジメント


2014年の初版から7年を経ての新版です。

島津明人先生から、はじめてワーク・エンゲイジメントについて、お話を伺ったのは、いつだったでしょうか? 駐車場で、車の誘導をダンスするように楽しむ男性の動画を見せてもらって、すごく嬉しい気分になりました。 『ワーク・エンゲイジメント入門』、『ワーク・エンゲイジメント:基本理論と研究のためのハンドブック』、そして初版の『ワーク・エンゲイジメント:ポジティブ・メンタルヘルスで活力ある毎日を』を貪るように読んだ記憶が残っています。


Google Scholorで、Work Engagementを検索すると、3130件がヒット、2013年までは925件です。一方、邦文のワーク・エンゲイジメントでは1914件、2013年まではわずか254件、うち、50件が島津先生絡みですから、島津先生が日本のワーク・エンゲイジメントを牽引してきたのがよくわかります。


ワーク・エンゲイジメントの第一人者、ユトレヒト大学のシャウフェリ教授はもともと、「バーンアウト(燃え尽き症候群)」の研究をしていたそうです。 近年、医療も公衆衛生も、リスクを回避するもぐらたたき主義から、多様な強みを最大化する方針に転向してきたな、と強く感じます。 最近、相談者に多いのは、「仕事と睡眠で人生が終わるなんて、気が狂ってしまう」的な発言です。年齢、性別、業種、報酬問わず、出てくる表現です。前提として私が、仕事と睡眠以外に大切なものなんてない的な姿勢でカウンセリングしていることはありますが、そもそも、仕事があるというのは、めちゃくちゃ健康増進因子なわけで、仕事のせいで健康が奪われているという状態って、本末転倒もいいところです。


今回、本の内容もさることながら、私の状態が初版を読んだときと大きく変わっているので、受ける印象にも大きな変化がありました。

唯一絶対のワーク・エンゲイジメントの状態が存在するわけではなく、ポジティブよりネガティブ、そして、個人の行動だけでなく、組織全体で心理社会的集団免疫的にウェルビーイングを高めていくということだと実感しました。 本書に書かれている自律分散型の協働が、今後の働き方になるでしょう。 個人は第4、7章、組織は第5、6章をしっかり読んで実践してください。

こちらは、この本にも載っている、GDPとワーク・エンゲイジメントの関係です。睡眠時間にも同じような相関があります。科学的に明らかだといって、二因子の関係が、因果だとは限りませんが、明らかな相関がある場合は、どちらかを高めれば、どちらかが高まることに疑いを保つ必要はありません。

この本ではなく、ワーク・エンゲイジメントの説明で、ときどきこんな図が出てきますが、私はあまりピンときません。ボートを正しい方向に引っ張っているかどうかで評価するのは、どこか、もぐらたたき主義だと思ってしまうのです。たしかに漕いでいない人は楽をしているようにも見えますが、反対方向にしろ、漕いでいないにしろ、ワーク・エンゲイジメントを本人が実感していることが全てだと思います。

とはいえ会社ですから、お客様のご要望にしたがって、行く先に予定通りに着かなくてはならないのも事実、だから、組織に貢献してくれている人を、組織がどれだけ評価できるのか、に尽きるのかな、と思います。その組織の姿を見て、自分でどちらに漕ぐのかを決めればいいし、反対に漕ぎたい人、漕ぐ動作をしたがらない人に対して、組織がケアしたければすればいい、と思います。どうしても後ろに漕ぎたい人は、別の組織に映れば、最高の漕手になるチャンスもあるだろうから、お互いのために、この組織で完結しようと思いすぎないほうがいいだろうな、とも思います。 体質や遺伝子などの後天的には変えられない事情で、ワーク・エンゲイジメントを実感できない人って、ほとんどいないんじゃないでしょうか。今の会社で、今の仕事で、その気になれないからといって、仕事を楽しむ選択肢に自分で蓋をしてしまうのは、もったいないと思います。 私もますますポジティブ・メンタルヘルスで活力のある毎日を送ろうと思います。

  1. ワーク・エンゲイジメントは、健康を維持しパフォーマンスを高めるための鍵概念である。

  2. ワーク・エンゲイジメントは、個人の資源と仕事の資源を充実させることで高めることができる。

  3. 健康でいきいきと働くためには、職場環境だけでなく職場外の環境にも注目することが重要である。

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