頭痛と睡眠 【プレゼンティーイズム①】
頭痛は主要なプレゼンティーイズム原因
プレゼンティーイズムとは、なんらかの健康課題によってパフォーマンスが発揮できないため、
就業はしているけれど、会社に期待されているアウトプットを達成できないことによるコストです。
1日4万円売り上げてくれることを期待して雇っている社員が、
1万円しか達成できない場合、会社は計画よりも3万円損したことになります。
その損失の背景に健康課題があり、従業員が就業している場合、
その損失および損失額をプレゼンティーイズムといい、
同様に背景に健康課題があり、従業員が就業していない場合の
損失および損失額をアブセンティーイズムといいます。
アブセンティーイズムのほうがプレゼンティーイズムより、
時間あたりの損失額は大きいですが、
ちょっとした体調不良で働く人があまりに多いために、
あらゆる健康課題による経済損失のうち、
64%をプレゼンティーイズム、
11%をアブセンティーイズムが占め、生産性損失で75%、
健康課題による経済損失として一番に思い浮かべる医療費は、25%です。
コラム「【徹底解説】睡眠が生産性を高めるしくみ」をさんこうにしてください。
頭痛によるプレゼンティーイズム

永田先生の研究によると、プレゼンティーイズムの原因の第9位が頭痛です。

こちらの経済産業省によるデータでは、
第5位うつ、第6位疲労感、第7位不安感を足したメンタルヘルスと
第2位睡眠不足、第9位不眠症を足した睡眠
に次ぐ第3位が頭痛ですが、
その理論なら、第1位の首・肩、第3位の腰痛、第8位の頭痛を足して
慢性疼痛で第1位にまとめると合理的です。
頭痛と睡眠
頭痛の原因は、さまざまですが、
酔った後、徹夜、時差ボケ、不眠、睡眠不足などなど、
不適切な睡眠とは関係がありそうだと、誰でもうすうす感づいていることでしょう。
今回は、睡眠障害の治療が頭痛の軽減に役立つことを証明した、こちらの研究を紹介しましょう。
Improvement in headaches with continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnea: a retrospective analysis
頭痛の診断のついた男女に終夜睡眠ポリグラフィー検査を実施し、AHI5以上の場合は、通常の頭痛治療と並行して、CPAPを導入しました。
AHI5以上のうち51.9%(全体の32.9%)のCPAPアドヒアランス良好群は、治療により頭痛が改善した割合が、全体から見ても、他のどのカテゴリーから見ても、有意に高かったのです!!

この研究では、AHI5未満の方にはCPAPを使用するチャンスを与えていないのですが、全員にCPAPを使用させていたら、最終的にもっとたくさんの方の頭痛が改善したかもしれませんね。

睡眠時無呼吸症候群や不眠症、睡眠不足の自覚症状として、頭痛は非常にポピュラーです。
頭痛診療では、頭部MRIや頭部CTなど、画像検索を第一にイメージする方が多いかもしれません。
私たちは自覚症状を頼りに、最も治療を急がなければいけない致命的な疾患から除外していく必要がありますので、
確かに不自然な、異常な、激しいなど、一般的とは言えない頭痛を訴える場合には、画像で「器質的疾患」を除外します。
とはいえ、脳腫瘍のような画像にまざまざと映る原因で頭痛が起こるのは、むしろ、ごくごく稀なのです。
繰り返しお伝えしているとおり、睡眠不足の脳は炎症しています。
痛みは炎症の主症状です。
脳に何らかの炎症があるというのは、充分な頭痛の原因です。
睡眠不足が炎症の原因になるのは明らかなので、睡眠不足が頭痛を招くのは驚くに値しません。
頭痛のサーカディアンリズム
また、頭痛にはサーカディアリズム(概日リズム:体内時計が刻む1日のリズム)が大きく影響していることは、さまざまな先行研究で明らかになっています。
片頭痛が午前6時から正午に見られやすく、心筋梗塞のパターンと共通点があることも指摘されています。
サーカディアンリズムによる分泌量の日内変動があるコルチゾルや副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)などが、頭痛に影響していることも知られています。
卵が先か、鶏が先かはわかりませんが、頭痛があると、コルチゾルやACTHの分泌がイレギュラーになるという報告があります。どちらも自律神経に関連するホルモンですが、自律神経のアンバランスは頭痛と深い関係があります。
更に、サーカディアンリズムを司る視交叉上顎を持つ視床下部から分泌されるホルモンや松果体から分泌されるメラトニンのリズムや分泌量が、頭痛があると狂っていることがわかっています。
そして、終夜睡眠ポリグラフィーによると、頭痛があると、N3とREMの時間が短縮してしまっている場合が多いです。
つらい頭痛がOTCの鎮痛薬でおさまって、生産性を保てるのなら、それはすばらしいことです。
いつでも、痛みを我慢する必要はありません。
とはいえ、頭痛が最初から起こらなくなれば、少なくとも起こる頻度や持続時間が低減すれば、生活の質は高まるでしょう。
そのための簡単な方法は、たっぷり眠ってみることです。7時間以上の臥床を、4~5日間、続けてみてください。
それで、頭痛の頻度や持続時間が低減すれば、睡眠はよい方法です。増悪することは考えにくいですが、その場合は心配なので、医療機関を受診してください。
