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第32回産業ストレス学会

石田陽子 Yoko Ishida

平和堂&ひこにゃんの推し活


ウインクあいちでの産業ストレス学会開催をきっかけに、名古屋のクライアントの訪問に加え、私の2つの推しの街、彦根に足を伸ばしました。


ひとつはひこにゃん、そしてもうひとつは平和堂の産業保健です。

嬉しかったことは、9年間の外来受診と血圧コントロールの関係としてコラムでも紹介した論文のメインオーサーである志摩先生とお話できたこと、そして、志摩先生が面会のあと、このコラムを発見してくれて、直接コメントを下さったことです。


本当にリアリティのある名論文なので、ぜひ、皆様にもあらためてチェックしていただきたいです。


私が平和堂の産業保健に憧れるのは、このリアリティです。

学会で、経営にも診療にも関わっていない、なんらかの基準でステイタスのある人々が、机上の空論を繰り広げることを全否定はしませんが、正直なところ、それって、リアリティ、ありますか? と感じてしまいます。


私は公衆衛生家であり、産業保健家であり、臨床医であり、けっして研究者ではないので、研究者の皆様の苦労は何もわからないんですが、わからないからこそ、現場の労働者にとって、リアリティのある施策をしたいし、そういう話をしたいです。


そして、ひこにゃんとの直接対面は叶わなかったけど、ミュージアムでグッズを堪能、ちょっと奮発して、ステッカーなどを購入しました。

夕食に食べた絶品近江牛焼き肉の店には、なんとひこにゃんがグルメ企画で来店歴があり、ひこにゃんと同じ焼き肉を食べられて、幸せでした。


近江牛を堪能するひこにゃん


2016 年度から 2020 年度の、「ストレスチェック回答前月の残業時間」および「よく眠れない」の回答と高ストレスの関係


実に座長の先生に申し訳ないことに、題名ばかり長くて、内容の薄い記述統計を発表しました。2019年の働き方関連法施行と2020年からのコロナ禍によって、長時間労働が是正されたとか、睡眠時間が長くなったとかいう報告もあります。

不眠、睡眠時間、長時間労働はそれぞれ影響し合う増悪因子であると同時に独立して心血管イベントやメンタルヘルス不調の原因にもなります。


そこで、長時間労働の指標として前月の残業時間、不眠の指標として職業性ストレス簡易調査票B-29「よく眠れない」の回答に注目して、メンタルヘルス不調の指標として高ストレス判定への影響を観察しました。


結果は想像通り、残業時間と不眠、残状時間と高ストレス、不眠と高ストレスに明らかな量反応関係がありましたが、圧倒的に不眠問題の影響のほうが強かったのでした。


各年度の残業時間と不眠度の組み合わせ軍の高ストレス率

ストレスチェック後の職場改善として、労働時間を適正化し、11時間以上の勤務間インターバルを確保する働き方改革と同時に、8時間睡眠の推奨、睡眠障害の治療、睡眠薬の適切使用等、睡眠衛生増進に向けた具体的な施策を展開することは大いに意味があると考えます。


8分の発表時間のところ、3分で終わってしまいそうになったので、アドリブでその前の発表者へのコメントを足しても、6分で終わってしまい、皆さんに申し訳ないと思っていたら、統計学的なご質問ではなく、現場のナラティブなご質問をくださった先生に救われました。


労働時間を適正にしても、インターバルを確保しても、家庭内の役割を果たすために睡眠時間を削ってしまう従業員がいるので難しいという、中核病院で臨床医と産業医をされている先生からのコメントでした。

終了後も、別の労働衛生コンサルタントの方から、業務外の睡眠時間を定量することの難しさについて、コメントをいただきました。

また、ある保健師さんからは、「眠れないと相談にいらっしゃる方に、眠らなくてもいいと言ってしまっているのですがダメですか?」というご相談もありました。

「自分を守るためにも、眠らなくてもいいというアドバイスはしないほうがいいですよ」と答えました。


睡眠と産業ストレス


本日は北島先生の睡眠障害の教育講演も大盛況でしたが、現場で産業ストレスに向き合う人々の睡眠に対する関心の大きさと情報の少なさのギャップに戸惑う局面が、多々、ありました。

ストレスが大きい人々が睡眠に最も関心を持っていることは数々示されていますが、それでは睡眠衛生増進のためになにかしているかというと、なかなか実践はなさそうなところでした。


北島先生が紹介していた国試の過去問は、

「50歳女性、なかなか眠れないが、テレビを見ていてうとうとしてしまうことはある。よく眠れた翌日は趣味を楽しむことができる」

みたいな症例で、正解は、早寝するでも、寝坊するでも、昼寝するでも、寝床で本を読むでもなく、

「眠くないときは寝床から出る」

というものなのですが、この50歳女性のペルソナによって、回答は変わると思うんですよね・・・


国試を受かった若者たちが、WORK SHIFTも読まずに50歳女性は初老の専業主婦というバイアスまみれなのかと思うと、51歳女性としては複雑な思いです(笑)

眠りすぎて眠れない高齢者とは異なり、成人は眠るべきときに眠るタイミングを逃している不眠が多いです。

対策は正反対なので、注意が必要です。


北島先生が全体の睡眠休養感ととれていない割合が20%もいると示してらっしゃいましたけど、労働者に限ると40%超えも多いのです・・・


北島先生もおっしゃっていたように睡眠をマネジメントしたければ日中、特に起床直後からの時間が重要です。睡眠時間とパフォーマンスの関係を探るときにも、時間生物学的にはデータをとる時間に注目しなければなりません。


現在、計画している介入研究では、そのへんをしっかり網羅していきたいと思います。


今やらなければ二度とやらないと思い、名古屋から東京に向かうのぞみの中で、コラムを書きました(笑)

ただいま新横浜です。

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