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ストレスチェック結果から期待される睡眠衛生の重要性と健康経営施策としての睡眠プログラムの可能性【第30回日本産業ストレス学会】


12月3日には、一橋大学一橋講堂で行われた第30回日本産業ストレス学会において、「ストレスチェック結果から期待される睡眠衛生の重要性と健康経営施策としての睡眠プログラムの可能性」を発表しました。


学会を通じて、産業ストレスや疲労等の原因は多様だけれど、その回復方法はただひとつ『睡眠しかない』ということを、あらためて感じました。


あまりよく知らなかったのですが、心理学の分野では、ストレスフルな体験によって消費された心理社会的資源を元の水準に回復(リカバリー)させるための行動として、

 仕事のことを忘れる「心理的距離」、  リラックスできることをする「リラックス」、  自分の視野が広がることをする「熟達」、  自分のスケジュールは自分で決める「コントロール」 の4つが有効とされていて、そのリカバリー経験を尋ねるREQという国際的な尺度があります。REQには、日本語版が開発されていて、その日本語版と開発論文は、こちらの慶應義塾大学総合政策学部島津明人研究室のページからダウンロードできます。


たとえば、コントロール、すなわち裁量の高い業務ほど、内容が同じでも心理的苦痛が低いことは知られており、ワークエンゲージメントの高い群では、仕事以外の時間に仕事のことを忘れたり、自分磨きに精を出したりするというエビデンスもありますし、そもそもストレスからリカバリーしている状態がリラックスしている状態なので、私には、回復するための行動ではなく、回復度合いを評価する尺度のように思えます。 これは私が身体臨床家出身で、交感神経優位の状態をむしろ生命活動としては非常に本質的な好ましい状態と捉えている背景があるせいで、心理学的にはやはりストレスって嫌われ者なのだな、と感じます。


ちょうど、私と同じセッションでは、島津先生の愛弟子でも右腕でもある宮中大介先生が、「睡眠時間を考慮した心理的距離とメンタルヘルスの関連性の検討」をご発表されていて、睡眠時間が適度な場合には心理的距離が取れているほどメンタルヘルスが良好だけれど、睡眠時間が不十分だと心理的距離がメンタルヘルスに及ぼす効果が逓減する可能性があると考察してらっしゃいました。


産業医をしていても、臨床医をしていても、「リラクゼーションや気分転換をしたほうがよいので、睡眠時間を削っている」と語る労働者によく出会います。 私は気分転換なんて根性論と同じで、疲労は睡眠でしか回復しないと考えています。 心頭滅却したって、火は熱いに決まってます。涼しいと感じる相手には、知覚の異常を疑います。身体臨床家のガサツな頭では、宮内先生の高尚な結果も、「結局、しっかり眠るしかないってことじゃん」と思えてしまい、そんな意見を述べてみましたが、科学的にすうっと流されました(笑)


睡眠に関連する演題としては他に、「生体時計特性とコロナ禍の在宅ワークにおけるメンタルヘルスおよび疲労回復の関連」という報告があり、在宅勤務時は、睡眠時間が長く、不眠感が低く、疲労回復が順調な傾向があることから、生体時計特性にかかわらず、在宅勤務が労働者のメンタルヘルスや疲労回復に好影響をもたらす可能性が示唆された、と考察されていました。これも勤務場所は交絡で、たくさん眠るのが是ってことじゃん、とガサツな私はほくそえんでしまいました。


タイトルには含まれていませんが、睡眠時間とストレスチェックの関係を考察していたのが、リンケージのランチョンセミナーの石澤哲郎先生の発表で、睡眠時間が長いほうがストレスが低く、生産性が高いという私が主張する傾向が示されていました。


当社のストレスチェックにおいては、睡眠に関連する因子として、以下の私の発表に用いた「よく眠れない」への回答と残業時間くらいして集めていませんでしたが、当社では独自にスリープチェックを行っています。今後、ストレスチェックとスリープチェックを組み合わせた新しいストレスチェックを展開したいと考えました。


今回の私の発表はまさに、ストレスチェック結果「だけ」を用いて、ストレスマネジメントの唯一最大の策が睡眠である、と主張するものでした。ストレスチェックへの活用が推奨されている職業性ストレス簡易調査票57項目には、睡眠に関連する質問が「よく眠れない」という1項目しかありません。私の持っているデータでは他に残業時間を尋ねていたので、残業時間の長い群を睡眠時間が短い群と仮定し、「よく眠れない」群を自覚的不眠感が強い群と仮定しました。

結果としては、当たり前ですが、残業が少ないと同時に自覚的不眠感が少ない群で、最もストレスが少なく、集団分析後の職場改善でも、高ストレス者への面談でも、全員へのリテラシー向上でも「よく眠ること」を推奨するのが望ましいという、前述、宮中先生、石澤先生らと同じ主張に落ち着きました。


だからこそ職場では、企業がリーダーシップを取って、従業員全員の睡眠課題克服、睡眠衛生増進に邁進するべきである!!というのが私の主張です。


発表は以下の動画をご視聴ください。







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