top of page

第⑦位 バリウムが盲腸の真犯人 (´д`) (゜∀゜)

捨てられる恵方巻きとバリウムの関係

節分のあと、大量に廃棄される恵方巻きが話題になりました。

縁起物とはいうけれど、恵方巻きビジネスで得をしているのは誰なんでしょうね。

フランチャイズのコンビニには恵方巻きの買い取りノルマがあるとかないとか・・・・・・もしそれが現実ならアルバイトの学生から罰金を取ったセブンイレブンのフランチャイズの問題にも直結してきますよね。

バレンタインデーにチョコが売れて、Valentine聖人が喜ぶのか、クリスマスケーキを買ったら、イエス・キリストが喜ぶのか、健康被害を知ってタバコを吸って誰が喜ぶのか、みんなもっとフツーに考えたらいいと思います。

スクリーニングでバリウムやって誰が喜ぶのか・・・・・・


ABC検診のススメ
.pdf
Download PDF • 712KB

2017年2月10日号の週刊ポストの記事にも既得権益について記載されています。


1年間で新たに発見される胃がん患者約13万人のうち、自治体のバリウム検査で見つかるのはわずか6000人(厚労省、「地域保健・健康増進事業報告」、2013年度)。

自治体がバリウムに投じる金額は600億円ともありますが、医療者(一般病院の勤務医)はあまり知らないままに労働者もけっこうな割合でバリウム検査を受けており、その数は自治体より多いんじゃないかと思います。

1000億円以上がバリウムに使われているってすごいことですよね。

バリウムは心身に負担をかける割に見逃しの多い、スクリーニングには向かない検査です。

そんな検査になぜこんなに人気があるのか?!

恵方巻きやバレンタインデーと同じ理由しかないっすよね。

本気で自分の胃がんを見つけたければ、自分で上部消化管内視鏡検査を受ければいいし、企業や自治体ではスクリーニングならABC健診を選択すればいいだけのこと。アルタナティブがあるのにしない、そんな空気を誰が作ったか、よくよく考えてみてください。


バリウム検査で盲腸リスクは約10倍に!!!

この研究を見たときはメッチャクチャビックリしました。

喫煙が肺がんの原因になるって誰でも知っていると思うけれど、非喫煙者と比べて、喫煙時に煙を深く吸い込む集団の ORは 3.28 (95% CI: 2.38-4.53)で、約3.3倍。(Cigarette smoke inhalation and risk of lung cancer: a case-control study in a large Japanese population.

バリウムで盲腸のリスクが10倍になるってことは、誰でも知っている喫煙で肺がんになりやすくなる影響力の3倍も、バリウムで盲腸になりやすくなるってことです。会社で喫煙を推奨されても従いたくない人は多いと思うし、体に悪いのになぜ推奨するの?と不思議に思うでしょう。一方で禁煙できない人にとっては禁煙しない別の理由があると思いますが、体に悪いと知っててバリウムを飲みたいと思う人はこの世にいるのでしょうか? 飲みたいのなら止めはしませんが、多くの人はそうではないのではないでしょうか・・・



大好きなアンチバリウムスクリーニングネタのご紹介です。

バリウム検査を受けた人は虫垂炎になりやすいということがわかりました。

虫垂炎はいわゆる世間で言うところの「もうちょう」です。

(盲腸と虫垂炎は別の部位ですが、「もうちょう」で入院とか手術とかいうときのほとんどは急性虫垂炎です)


年齢、性、合併症の補正後も虫垂炎発症リスクはバリウム検査群が有意に高く(ハザード比1.46、95%CI 1.23〜1.73)、特に検査後の2カ月間では極めて高くてハザード比は9.72(95%CI 4.65〜20.3)でした。


バリウム検査を受けてすぐは、10倍近く盲腸になりやすいってことですね(´д`)

図で実線が検査なし、点線が検査あり、横が時間(年)、縦が虫垂炎発症頻度です。



臨床医をしていたときには世間の人がこんなにバリウム検査を受けているなんてつゆも思わなかったので、あまり問診の時にチェックしてませんでした。

10倍というと本当にすごい割合で、Facebookの書き込み直後に現役外科医から驚きのコメントもありました。

この研究結果を健診業界は重く見るべきですし、少なくとも産業保健の立場から、虫垂炎によるアブセンティーズムと医療費の膨大な増加というリスクを考えてもバリウムはやるべきではありません。

研究には多くのバリウムによる有害事象が用量依存だとも書かれているので、バリウム検査で所見があり、詳細な(プロの、医者がやる、保険適用の、目的のある、本来の存在意義である)バリウム検査をやる場合にはすべての有害事象のリスクがあがります。


また、この研究は台湾のものなので、人種的にも日本に当てはまりやすいのではないでしょうか。


もちろん、この研究でわかったことは相関であり因果を示すものではありませんが、有意な差、しかも10倍という数値が出ている以上、偶然ではない関係は明らかなので、因果を大いに示唆します。

これは、緊急の急性腹症患者で見たものではなく、健康な成人のスクリーニングです。

以前は残存バリウムによる炎症が疑われていたようですが、バリウム検査による腸管粘膜の浮腫が怪しいともありますが、原因なんかどうでもよくって、やめればいいだけの話ですよね。

何らかのプロセスが健康障害の原因になっている可能性があって、その何らかのプロセスをなくせるのなら、どう障害しているかを検証する必要はなく、ただやめればいいんです。特に企業の経営判断として行なうならそれが一番生産性の高い手法です。


スクリーニングで用いるのは、不溶性のBaSO4なので接種しても安全とはいえ、胃酸で溶けて産生される可能性が完全にゼロではない炭酸バリウム(BaCO3)は殺鼠剤に用いられるほどの猛毒です。

アナフィラキシー様反応の報告もあるし、バリウムによる肉芽、管外・血管内漏出の報告もあります。

前回コラムで書いたような被曝のリスクもあります。


バリウムインパクションの腹痛で毎年苦しみながらも労働者の義務だからと受けている人を見ると悲しくなります。

バリウム検査を受ける義務はないし、盲腸に10倍なりやすくなるのでやめましょう。


バリウムを飲むのはやめましょう。

なぜやめたほうがいいのか・・・危険だからです。健康を障害するからです。

じゃあ、なぜ、なくならないのか・・・健診センターが儲かるからです。

毎年体を犠牲にバリウムを飲んで健診センターの売り上げにしている1,000億円以上を、被災地支援に回すほうがずっといいですよ。


追記として、実際に検査後、入院手術になった方から体験談にリンクしてもらいました。

また、実際に診療中、レントゲンで見つけた異物が、4ヶ月も前のバリウムでした。

腸管内に4ヶ月も異物がとどまっていたら、そりゃ、炎症を起こしますよね・・・


閲覧数:1,315回

最新記事

すべて表示
bottom of page