睡眠時無呼吸は、「気道」が課題
- Yoko Ishida
- 14 分前
- 読了時間: 6分
睡眠時無呼吸は、「呼吸の病気」ではありません
私がしつこく口にする、「睡眠時無呼吸症候群」。
病名からは、「眠っているとき呼吸が止まる病気」だとしか思えません。
「自発呼吸の停止」は、死の三徴候のひとつ、「呼吸が止まる」状況は、死に近そうで怖いです。
でも、睡眠時無呼吸症候群の人の自発呼吸にはなんの問題もなくて、
起こっているのは、上気道の粘膜がペタっとはりついてちゃってる、っていう事態です。
当たり前みたいですけど、上下の唇をピタッと閉じて、口から息を吸おうとしても口の中の陰圧が高まるばかりで、息は吸えません。
口の中の陰圧が高まるっているのは、空のペットボトルの口から中の空気を吸うとペコっと凹むじゃないですか、そのとき、ペットボトルの内側は、陰圧が高まっているわけです。
だから唇を閉じて息を吸おうとすると、空気は入ってこないけど、口の中に唇が丸め込まれて梅干しババアみたいになります。
で、息を吐こうとすると簡単で、パッと音がして、息が吐けます。
実はこの、パッと音がするって話が、睡眠時無呼吸症候群の病態そのものだったりします。
唇は気道の入口ですが、もう少し奥の下咽頭あたりが閉塞するのが、睡眠時無呼吸症候群です。
気道っていうのは、読んでそのまま、空気の通り道です。
ではなぜ空気が通るのか。
呼吸するからです。
呼吸も読んで字のごとし、空気を体内に吸って、体外に吐く行動です。
三徴候にもあるように、生きるためには空気を吸って、吐く作業が不可欠です。
空気の入換作業なので、「換気」とも言います。
呼吸の本質は、二酸化炭素の掃除
なぜ呼吸が必要なのか、ガス交換のためです。
ガス交換っていうのは、酸素を二酸化炭素に交換することです。
なんで交換するか・・・
人間は酸素がないと生命が維持できないのは、ご存知の通り、
でも、それなら酸素を供給すればいいだけなんですが、
酸素を生命維持活動に使った結果、必ず二酸化炭素が発生します。
生きていると、酸素が体内で二酸化炭素になります。
そして、二酸化炭素の環境への悪影響を皆さんご存知の通り、
体内に二酸化炭素をおいておくことは、生きることに邪魔になります。
だから、片付けなければいけません。
実は、呼吸をする意義は、酸素供給以上に二酸化炭素排出にあります。
脱炭素です。
私たちの吸気、すなわち空気の酸素濃度は約21%、二酸化炭素濃度は0.04%未満、
そして、呼気の酸素濃度が16%と4分の1も消費されていない一方、二酸化炭素は4~5%と100倍以上溜まってるんです。
呼吸行動のからくり
人間の呼吸は、胸やお腹の動きで胸郭(皆さんが肺が入ってると思っているあたり)が広がることで、肺の中が「陰圧」になり、勝手に空気が流入するというしくみです。
肋骨に囲まれ、横隔膜を底辺とする空間の壁に風船が張り付いていて、風船が無理繰り広げられるので、勝手に外から空気が入ってくる原理です。
胸やお腹の動きで胸郭が縮むと、今度は勝手に風船が縮むと同時に空気が外に出ていきます。
その空気の通り道が気道です。

睡眠時無呼吸症候群の人も、いつも通りに胸やお腹を動かして、気道に陰圧をかけます。つまり呼吸行動はしています。
ところが、そのとき、舌の根本あたりの粘膜同士がペタっとはりついちゃって、はりついている先の気道は陰圧なのに、空気が動かなくなっちゃう状態が、睡眠時無呼吸症候群です。
図を見るとわかるようにというか図を見てもわからない通りというか、はりついてない人とはりついている人の差はほとんどないような、そういうかなりちょっとした世界です。
でもね、ビニール袋の最初のきっかけづくりみたいな、ちょっとした密着だけど、結構めんどうという状況です。
生肉と生肉なんで、隣り合ってるとはりつくんです。お肉買ってくるとはりついてますよね?
そのうえ重力があるので、どんどんはりつくんです。
はりついてるから、吸気は入ってこないけど、反対に下気道が相対的に陽圧になって呼気を吐き出そうとするとパッと開いて、気道が通ります。
ぱっと開かないときに、落ちてくる軟部組織をブルブルと支えながら吐くと、いびきになります。
きわきわの隙間をぬって吸うときも、いびきになります。
つまり、睡眠時無呼吸症候群は低吸気正常呼気の状態なので、最低酸素飽和度は一時的に50%台になることもありますが、二酸化炭素過剰にならないところが特徴です。
それでも睡眠時無呼吸症候群を治療したほうがいいわけ
じゃあ、ほっておいてもいいじゃんってわけにはいかなくて、末梢の組織から低酸素のフィードバックが脳に伝わると、脳は呼吸を増やします、1回換気量も呼吸数(1分あたりの呼吸回数)も増やしますが、それで胸郭は動いても空気は入ってこない、それじゃあ酸素飽和度は低いながら心拍出量、すなわち血圧と脈拍をあげてたくさんの血液を届けようって対処になります。
本来、睡眠中は脳の電気活動もないし、身体活動もないし、酸素消費量が低いので、いつもどおりの呼吸なら心臓も休める、血圧も脈拍もどどーんと下がる副交感神経優位の状態です。ところが、深夜に過重労働させられた心臓は、これ尿で水分出せば仕事が楽になるんじゃないかってことで心房性ナトリウム利尿ペプチドというホルモンを出します。
そのホルモンが出たところで、睡眠中は意識がないので気づかないはずなんですが、交感神経過活性と低酸素で睡眠が浅くなってるから目が覚めてしまう、そして眠いのにちくしょーと思いながらトイレに行きます。
このため深睡眠が欠如分断することで認知機能に影響が出ると同時に循環器負荷と自律神経失調により突然死のリスクが高まるため、治療したほうがいいんです。
ちなみに治療すると、1日目からものすごく効きます。びっくりします。
ご相談ください
睡眠中、上気道がはりついてるかどうか自覚できる人はいませんので、医療検査で測定するのがベストです。
おれは肥満じゃないし、血圧も正常、暴飲暴食もしないし、タバコも吸わない、自他ともに認める自己管理能力の高い、ハイパフォーマーだと思っている人ほど危ないですし、多くのクリニックでは検査をしても結果の解釈を見誤りますので、注意が必要です。
もう何十年もなんとかなっているので、課題認識は難しいです。
でも毎晩、空気の通り道がつぶれ、そのたびに脳と心臓が無理やり起こされ続けているかもしれません。
あんな勤勉で、自己管理能力の高い人がなぜ?というような夜間突然死のエピソード、思い浮かびませんか?
今でも充分、ハイパフォーマーだけど、その持続可能性を高めたい方は、一度、ご相談ください。
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