コラム
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健康経営とポピュレーションアプローチ(1)Ver. 3
感染症という概念がない1854年、人気の井戸の柄を折って住民をこれらから救ったジョン・スノウは全く感謝されなかったが、人と組織の間を流れる心理社会的環境を整えて、メンバーの健康と生産性を高める健康経営の舵を取る現代の社長の理想の姿と言えるのではないか。

健康経営とポピュレーションアプローチ(2)Ver. 3
企業が従業員の健康に投資する科学的エビデンスと経済的妥当性に関するシリーズの第2段です。第1段、第3段はこちら。健康診断有所見率は高いけど、症状がないからとか、一生薬を飲み続けなければいけないからとか、治療してもらえない高血圧ですが、実は至適血圧の方が降圧薬を飲んでも心血管イベントリスクは低下します。普段得体のしれないものを平気で食べているのに、科学的に効果と安全性が保証され、経済的に保障される治療を避けるのは、専門家である私には不思議です。フレミンガム研究(1)で予告しましたとおり、フランクリン・ローズベルト大統領は、1945年4月、ヤルタ会談の2ヶ月後、脳卒中によって突然死しました。発症時の血圧は、300/199mmHgだったと言われています。現在、国際標準の高血圧のカットオフ値は130/80mmHgですから、この数値がいかにぶっ飛んだものかはなんとなく想像がつくと思います。当然ですが、立派な医師団が彼の健康にそれまでも配慮を続けていました。 ちゃんと血圧も測っていて、選挙やらDデイやらヤルタやらで急上昇する状況も確認されていました。血圧測定は1905年、ロシアの軍医が測定を開始し

睡眠向上ポピュレーションアプローチの意義と効果
第92回産業衛生学会の発表を共有します。職域のヘルスプロモーションプロジェクトとして、OSAに焦点をあてることの、企業としての意義について発表しました。収益を上げ、社会に貢献するために、これほどふさわしいターゲットはありません。言うまでもなく睡眠の不調は、あらゆる健康リスクと大いなる関連があることがあきらかになっています。睡眠と経済の関係はよく知られています。睡眠時間とGDPの関係は図のように明らかですが、そのGDPに対する睡眠による損失の大きさも日本は傑出しているところに注目してください。従業員の健康という人的資本に投資することで生産性を上げ、組織の収益としてリターンを得る戦略である健康経営を目指す企業が、注目するべきは睡眠であることが自明です。このように不眠を放置していれば、みるみる医療費が膨らみます。それでもこの医療費が、睡眠関連コストに占める割合は図のようにごくわずか。つまり、この80倍の勢いで、業務関連コストが膨らんでいくのです。もう一点、注目してほしいのが、Population Attributable Risk(PAR)です。PARは公衆衛生学用語で、 ①RR(Relat

睡眠を制するものが ビジネスを制す
Obstructive Sleep Apnea in Adults (CLINICAL PRACTICE) NEJMから睡眠時無呼吸症候群(SAS)のわかりやすいまとめです。英語は・・・という方はぜひ、心陽のコラムをご覧下さい。帝人やフィリップスのページもわかりやすいのでおすすめです。どちらのページにも心陽クリニックが掲載されています。SASの発症率はずいぶん低く見積もられていると感じていますが、それでもメタボリック症候群の60%、50~70歳男性の17%です。閉経後の女性や痩せているのに生活習慣病のある方も要注意です。これまでのリスクチェックは全く妥当性に欠けましたが、優秀なリスクチェックが開発されてきています。心陽では米国の職業運転手のスクリーニングに用いられている、ハーバードのKales教授らが開発したリスクチェックを、日本人用にアレンジした独自のリスクチェックを用いております。陽性的中率は80%、重症、要治療ともに0.1%未満で有意な相関がありますが、感度は22.2%です。ESS(エプワース眠気尺度)がスクリーニングに不向きであるエビデンスは多数ありますが、最新最優秀なリスクチ

健康経営とポピュレーションアプローチ(3)ver.3
医学や医療というネーミングは、聖域感というと聞こえは良いけど、医学部出るような頭よくて金持ちでフツーじゃない=異常な人の独占業務みたいに思われがちです。 一方で、「健康」はそんな異常者の専売特許ではなく、単純に「生き様」のようなものです。 企業の健康経営施策に必要なのは、PAR。

スリープチェックの意義をエビデンスで検証
健康リスクと労働生産性損失健康リスクの数が増えるほど、プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムが増え、その影響は、プレゼンティーイズムのほうが大きいということがわかっています。たいへん有名な研究による、こちらの図を見ると、11項目の健康リスクのうち、重複している数が多ければ多いほど、二次関数的にプレゼンティーイズムが高まっていくのがよくわかります。ちなみにそもそも医療界隈のエビデンスはこの、二次関数的リスク増加が当てはまる部分が非常に多くて、いわば変曲点ともいうべき数値で、法定健康診断結果が、CからDになることが多いようです。(Cとか、Dとかはルールもエビデンスもないので、健診センターが独断と偏見で定めています。)こちらで上げられている11の健康リスクは1. 栄養バランス不良2. やせ・肥満3. 高コレステロール4. 運動不足5. 高ストレス6. 予防ケア未受診7. 生活不満足8. 高血圧9. 喫煙10. 糖尿病11. 飲酒ですが、その変曲点は3~5項目くらいの重複にありそうです。1つもリスクがない労働者に比べ、8項目のリスクを持つ労働者は20倍ものプレゼンティ

君たちはどう食べるか(3)食意識とお国柄
お国柄によって食べ物に対する意識や役割はそれぞれ"Attitudes to Food and the Role of Food in Life in the U.S.A., Japan, Flemish Belgium and France: Possible Implications for the Diet–Health Debate". Appetite. 1999 各国から一人ずつの研究者が名を連ねる形式もおしゃれな、この研究、肉体的な健康と直結し、よろこびの源泉でもあり、ときに不安やストレスの種にもなる、常に気になって、誰にとっても大きな支出のもとでもある「食べ物」や「食事」へのお国柄による感覚差を捉える、たいへん面白いレポートです。 P. ROZIN University of Pennsylvania C. FISCHLER C.N.R.S. (Paris) S. IMADA Hiroshima-Shudo University A. SARUBIN University of Pennsylvania A. WRZESNIEWSKI University

医療政策としてのSAS健診
睡眠時無呼吸症候群は不十分な睡眠と低酸素により、深刻な心血管リスクとなる生活習慣病と、あらゆる生産性低下の原因になります。 日本ではコストパフォーマンスの高い検査はもちろん、世界中で使われるすばらしい検査と治療のすべてを、誰でも社会保険を利用して受けられます。

残業環境および上司のサポートと心理的苦痛の関係
個人レベルの残業時間と健康の関係は、実のところ、わかっていそうでわかっていない。残業時間は、心血管リスクなどいくつかの健康リスクと関連しているが、おそらくそれは睡眠不足によるものだろう。しかし、周囲の人の残業時間が同僚に与える影響に関する知見はないので、検証した。

ABCシリーズの新しさ
はかるより、わかるより、かわるに特化したシンプルさこれまでの健康セミナーは、学んでわかる、考えてわかることを目的にしているものが多く、目的が達成できたかどうかを理解度によって測っていました。正確にはそれは、これまでの健康セミナーのうち、一握りの良質なものの特徴であって、ほとんどのセミナーが目的を明確にせず、曖昧な満足度という尺度でセミナーを評価してきたことはご存じの通りです。どんなセミナーもただ実行すればよいのではなく、セミナー受講者が受講後にどうなってほしいのかという一般目標(GIO:General Instructive Objectives)を具体的にイメージした上で、一般目標の達成のためにどのようなことを学ぶかを計画する必要があります。 多くの場合、この一般目標は、受講前に知らなかった、あるいは曖昧であった知識や知見を得たり、確実にしたりすることが当てはまり、まさに「わかる」ことに重きを置いています。 これはセミナーを教育や学習の一環として位置づけることが一般的だからでしょう。 しかしながら、教育者を養成するわけではない健康セミナーを職域における人材育成の一部として行なう場合に