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予防接種

インフルエンザ予防を通して、企業が社会にできること

【2020/2021冬シーズン】

    A/Guangdong-Maonan (広東-茂南) /SWL1536 /2019 (CNIC-1909)(H1N1)

    A/HongKong (香港) /2671/2019 (NIB-121)(H3N2)

    B/Phuket (プーケット) /3073/2013 (山形系統)

    B/Victoria (ビクトリア) /705/2018(BVR-11)(ビクトリア系統)

 

ワクチン株の種類こそ、知っていても健康になんの影響もない医療情報のひとつですが、なぜか確実に必ず質問される事項でもあります。
H3N2が香港か、スイスか、シンガポールかを気にするけどワクチン接種は絶対受けない健康オタクの人は、いったい何をアウトカムに生きているのか、さっぱりわかりませんけれど、一応、共有いたします。

今年もCDCでもWHOでも、月齢6ヶ月以上ならまずワクチンを打つべし、と推奨していますね。

ほとんどすべてのインフルエンザに関する科学的エビデンスは、月齢6ヶ月以降、毎年、ワクチンを接種する前提です。

Flu-Prevention-Tips-Infographic-CDC-copy

そのうえで、人生最初(つまり、月齢6ヶ月以降、初めてのシーズン)のワクチンのみ2回接種、その後は1回というのが世界的常識です。

日本では、厚生労働省により13歳以下は2回接種が推奨されていますが、特に本シーズンはワクチン不足が叫ばれるので、有識者が世界的常識を啓発していて、心陽クリニックでも、そうしています。

また、心陽クリニックでは同様に日本でのみ推奨される皮下注射ではなく、筋肉注射を選択しています。

CDCのサイトは、シーズン中、次々更新され、ワクチンについて正確な情報がありますので、非社会的で非科学的な「隠れインフルエンザ」なんていうくだらない噂に翻弄される前にぜひ覗いてみて下さい。

今年は「インフルエンザで欠勤」の免罪符欲しさに医療機関を受診し、通常診療を邪魔する人々が減ることが予想され、それは新型コロナウイルス感染症の流行の影響のうち、望ましい影響の一つになるでしょう。

インフルエンザ予防にはともかくワクチン接種です。

図のように食事や運動やスマイルや清潔も重要ですが、それは健康全般に大事なことで、インフルエンザをターゲットにするならワクチンを接種した上、いつものように健康に尽くすこと。もちろん推奨株は日本とは違います。情報の質は劣りますが、嘘は書いていない、弊社コラムもぜひぜひご参考にして下さい。

ワクチン
注射器
Vaccinating_edited.jpg

インフルエンザワクチンの効果はありますか? あるとしたら、どれくらいですか?

 

こんな質問もよく受けますね。
皆さんが健康に効果があると信じてごくごく飲んで変態的にゲップをこらえる胃レントゲン検査、すなわちバリウム検査にはどれくらい効果があるのでしょうか?
皆さんが期待しているのは「胃がんの進行予防効果」ではないでしょうか?
胃がんの進行を予防できるかどうかに関しては効果ゼロで、胃粘膜に限らず消化管全体に物理的、化学的に炎症を起こしますから、ひょっとしたら異形性の再構築のきっかけを与えるリスクがあるかもしれません。まあ、それもわかってませんけど。
初期の胃がんを発見したければ内視鏡に分があることはよく知られていますが、いずれにせよ観察によりがんの発症や進行が予防できることはありません。バリウム検査をなんらかの健康行動にヒモつけられれば価値がありますが、受けるだけでは無価値どころか悪影響です。
結局、バリウム検査をすることによって確実に炎症が起こり、しないときより10倍くらいモウチョウ(急性虫垂炎)になりやすいことくらいしかわかってないんですね。

 

最近、メタボ健診後の保健指導やマスクの感染対策には根拠がないと発表されて、人々は混乱しているようですが、それでも次亜塩素酸ナトリウムを首から下げるよりはマスクや保健指導のほうが随分マシです。

​そもそも、みなさまは科学的根拠についてどれくらい理解されているかわかりませんが、​日常生活のほとんどの行動に根拠なんてないのに、一喜一憂することのほうが不思議です。
 

医師免許を持っていてもそれが理解できない人がほとんどなんですが、単純に、「予防の効果」を計測することは不可能です。
ワクチンを受けた人と受けてない人それぞれのインフルエンザにかかるかかからないかなんていうことはほとんど調べようがありません。
インフルエンザにかかってないということを確かめるだけにシーズン中週に一回くらい検査しないといけないことになるでしょう。
そもそもインフルエンザ感染の診断は症候診断であり、診療報酬を取るためだけの検査なんて何の意味もありません。

インフルエンザを前に企業ができる2つのこと

もし、企業にできることがあるとしたら、2つだけです。

唯一最大の予防であるワクチン接種を集団免疫に充分な割合で受けさせること

 

この際、コストを最小限にしたいのなら職場での集団接種がオススメです。
費用負担が会社であれ、従業員個人であれ、受診によるアブセンティーイズムや手続きによるプレゼンティーイズムが確実に節約できます。
健康保険組合も巻き込んで、ぜひ補助を設定させて下さい。すでに取り組んでいる健保も数多くありますので、一度、所属健保に問い合わせて下さい。健保には保健事業やコラボヘルスを行う義務があります。
会社が全額負担してくれるといっても、受診を社員に任せれば、社員は予約、交通費をかけて移動、待合室で他の感染症に被曝しながら順番待ち、会計でも待たされる、社内に戻って定型フォームに記入、当該部署に送信・・・のようにもっとも貴重な時間を大いに無駄にします。その先で記入済定型フォームを処理する社員にも無駄な仕事が待っています。(心陽はそのプロセスを行動医学会で発表)
また、予防接種は受診者の割合が集団免疫にいたらなければ効果がありません。
ここは、CDCの推奨に素直に従い、禁忌以外の全社員に集団接種をさせましょう。

社員の欠勤理由を問わないこと

 

ワクチンを全社員に受けさせた上で、少しでもインフルエンザが疑わしい症状が出た社員には欠勤を推奨してください。リモートワークが可能なくらい元気で本人の希望があるなら、可能な分だけ振ればいいし、休養が必要ならさせること。
本当はインフルエンザじゃなくて、好きな歌手のライブに行くのだとしても、なにがいけないんですか?
ライブに行くのに休むのは、一日で済みます。しかもライブのチケットは事前にとってあるので、休む日はわかります。
でも、ライブならNGでインフルエンザならOKだから、隠れインフルエンザになるんです。生理休暇の不正利用と一緒です。

 

休むか休まないかは従業員が決めること。自分の欠勤により社内にどれだけの影響が出るかは本人が一番よく知っています。一方で、休む必要がある体調かどうか、自分が一番よくわかります。本人が休んだほうがいいんじゃないかと思った瞬間、すぐに休養するべきです。そうすれば、午後に復調して出勤する可能性もあるでしょう。休む気になっている社員をむりやり会社に引っ張り出すメリットは皆無です。
会社のすることは、欠勤を知った時点から、すぐにリマネジメントすることのみです。
リマネジメントという難しい仕事が増えることが決定しているのに、休む理由を聞いている余裕はありません。すぐ仕事にかかって下さい。症状とか熱とかを尋ねる上司の管理能力の欠如を、会社はしっかりとマイナス評価して下さい。お医者さんごっこで遊んでいる暇はありません。
従業員にできることは、欠勤の理由は不要なので、その意思決定をできるだけ早く伝えることです。欠勤決定が早いほど、リマネジメントの選択肢が増えます。時間有給取得が結果としてアブセンティーイズムを減らすのと同じ原理です。

 

従業員が会社で文句を言われずに休むための目的で医療機関を受診し、本来医療を必要とする人たちの機会を奪ったり、本当にインフルエンザに感染しているとしたらそれを社会にまき散らしたり、かかってなかったのに待合室でもらってきてまき散らしたり、無駄な医療費を消耗したりして、社会に迷惑をかけることを推奨するのは企業として非常に低レベルです。社会的に持続可能な目的を果たしましょう。
低レベルな制度は、即刻、やめてください。今回、新型コロナウイルス感染症がそれを教えてくれたでしょう。

医療機関および公衆衛生はモラルの低い企業の姿勢に、たいへん迷惑を被っています。
インフルエンザに感染しているかどうかは医療機関で検査をして確実にわかるものではありません。医師は、インフルエンザ罹患の有無は症候診断でするよう国から指導されています。
アホらしいので書くのが切ないですが、抗生物質は効きません。
「インフルエンザなので抗生物質を出しましょう」という医者はかわいい従業員をまともに診療する気がありません。
また、医療機関は会社に休むエクスキューズを提供する機関ではありません。

医療機関には医療機関の果たすべき社会的役割があります。
会社には社会人としての教養を従業員に身につけさせる社会的義務があります。しっかりしてください。

Business Pulse ビジネスパルス

 

冒頭のCDCが提供している企業向け健康対策ページをご紹介します。日本にもこういう良質なツールがあるといいのですが・・・

このビジネスパルスのインフルエンザのページの立ち上げに際して書かれたブログからまず、抜粋しますね。

「命を救い、労働力を守る」

どんな病気でも治療より予防のほうが上々で、インフルエンザだって例外ではありません。我が国(米国)を守るCDCは職域の健康を守るため、こんなページを作って情報を提供してくれています。

ワクチン接種はインフルエンザを予防する唯一の方法です。

CDCによると、2012~2013年シーズンは、米国人口の約45%がワクチンを受けました。これによりインフルエンザに関連する不調は660万件、外来受診は320万件、入院は779,000件減ったと試算されています。

もっと大勢がワクチンを受けていたら、もっと大きい効果があるといえます。

 

経営者はワクチン接種運動を促進して、なんらかの措置を高ずることで、インフルエンザ発症予防に重要な役割を担うことができます。

 

インフルエンザウィルスは人を選びません。社会に暮らす人々が充分な割合でワクチンを受けることでしか大切な労働力を守る方法はありません。

 

ビジネスパルスではまず以下の14個の入り口を設けています

 

オピオイド(麻薬)中毒、タバコ、交通安全、医療費削減、健康経営、産業保健(労働安全衛生)、食の安全、心疾患、従業員の健康管理、インフルエンザ予防、海外渡航者の健康、グローバルヘルス、ビジネスの持続性

 

健康経営的視点(business health)においても、生産性の最大化に触れるとともに、ここでも最初にインフルエンザパンデミックによる経済損失が1~2.5兆ドルであることに触れ、ビジネスヘルスを守るための5つの方法の5番目の方法として、インフルエンザ予防で締めています。

またビジネスの持続性もインフルエンザのパンデミックではじまります。

​新型コロナウイルス感染症の流行は、私達個人の健康と社会の生産性の関係を、まざまざと教えてくれたと言えるでしょう。

 

その上にインフルエンザ予防のコーナーを単独で設け、4つのページに分かれるのですが、そのうちのINFOGRAPHICが秀逸です。ぜひ、職場のインフルエンザ教育(をどうしてもしたいのなら)にお役立て下さい!!

注:心陽は特定の疾患のリテラシーを高めるプログラムは、労働者には不要だと考えています。

イラストで誰にでも伝わるように描いてありますし、言葉も単語中心なのでGoogle翻訳などで十分に理解できます。

 

経営者、企業は公衆衛生、すなわち社会全体の健康において大きな役割を果たす力があります。

力があるということは責任があるということです。従業員一人一人が、社会的な役割として集団免疫を作るためにワクチンを接種すること、そして、それを企業が支援することで、米国では870億ドル以上、のべ1,700万日分に上るアブセンティーイズムを国全体で節約できるのです。米国の接種率は45%、日本の成人接種率が30%弱であることを考えると、簡単な投資で企業の、そして国全体の生産性を高められるのです。

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