Yoko
2024年12月13日
第32回日本産業ストレス学会で発表します
第2回日本産業ストレス学会で、「2016年度から2020年度の、ストレスチェック回答前月の残業時間および「よく眠れない」の回答と高ストレスの関係」を発表します。
【背景】長時間労働および不眠は、独立して脳心血管系イベントやメンタルヘルス不調の発症リスクであり、労働者の健康に大きな影響を及ぼす因子である。長時間労働の健康リスクを睡眠不足が交絡するという考察も一般的である。そこで、ストレスチェック前月の残業時間(以下、残業時間)および職業性ストレス簡易調査票B-29「よく眠れない」の回答(以下、不眠度)に注目し、高ストレス判定への影響を観察した。
【方法】2016年から2020年、4月1日から翌年3月31日までの年度ごとのストレスチェック結果を用いた。
【結果】各年度の回答数と残業時間および不眠度に有効な回答数は、2016が12752と12587、2017が21504と19006、2018が22817と16016、2019が7906と6739、2020が5932と5850だった。残業時間が80時間以上の割合は、2016が2.01%、2017が1.56%、2018が2.73%、2019が1.11%、2020が1.06%であった。高ストレス率は2016が11.8%、2017が15.7%、2018が22.1%、2019が16.9%、2020が14.4%で、全年度の平均が16.2%であった。残業時間と不眠度を各4段階に分け、各年度で20項目の高ストレス率を比較したところ、不眠度が最低の20項目のうち1項目と不眠度がやや低い20項目のうち8項目の高ストレス率が16.2%を下回った。残業時間と不眠度は全年度で相互に、また、それぞれ高ストレス率との量反応関係が有意であった。各年度の結果を、Z軸:高ストレス率、X軸:残業時間:Y軸:不眠度とした3-D棒グラフで示すと、年度ごとの傾向が見えた。
【考察】高ストレス率は残業時間と不眠度にそれぞれ独立して影響を受けることがわかったが、不眠度の影響がより強く、特に不眠度が最も強い群では、残業時間によらず高ストレス率は高かった。働き方改革法施行やコロナ禍の影響が長時間労働の是正に影響したと考えられた。2020年度は特に残業時間より不眠度の影響が強く見られ、労働時間を適正化し、11時間以上の勤務間インターバルを確保する働き方改革と同時に、睡眠衛生増進に向けた施策の展開が求められると感じた。健康経営度調査の6項目の施策実施は好ましいが、よりシンプルかつ実効性が高いのは、睡眠時間の延伸(睡眠不足の解消)、睡眠障害の治療、睡眠薬の適切使用だと考える。て脳心血管系イベントやメンタルヘルス不調
の発症リスク因子であり、長時間労働の健康リスクを睡眠不足が交絡するという考察も
一般的である。
【方法】2016年度から2020年度にA社が提供するサービスでストレスチェックを受検
した労働者の結果を、ストレスチェック前月の残業時間(以下、残業時間)および職業
性ストレス簡易調査票B-29「よく眠れない」の回答(以下、不眠度)に注目して、高ス
トレス判定への影響を観察した。
【結果】各年度の残業時間、不眠度に有効な回答数は、2016年度12587人、2017年度
19006人、2018年度16016人、2019年度6739人、2020年度5850人だった。業残
時間が80時間以上の割合は、2016年度から順に
2.01%、1.56%、2.73%、1.11%、1.06%であった。高ストレス率は2016年度から順
に11.8%、15.7%、22.1%、16.9%、14.4%(全年度平均16.2%)であった。残業時
間と不眠度は全年度で相互に、また、それぞれ高ストレス率との量反応関係が有意で
あった。各年度の結果を、X軸:残業時間、Y軸:不眠度、Z軸:高ストレス率とした3-
D棒グラフで示すと、年度ごとの傾向が見えた。前年度平均を基準とした高ストレス率
のオッズ比は、不眠度最低で有意に低く、不眠度最高で有意に高く、どの残業時間区分
でも有意ではなかった。
【考察】残業時間と不眠度は、それぞれ独立して高ストレス率に影響を与えたが、不眠
度の影響はよりかった。時間を適正化し、強 労働 11時間以上の勤務間インターバルを確保
する働き方改革と同時に、8時間睡眠の推奨、睡眠障害の治療、睡眠薬の適切使用等、
睡眠衛生増進に向けた具体的な施策の展開が求められる