ストレスチェックで睡眠はわかる?高ストレスと不眠・日中の眠気の関係
ストレスと睡眠
いかにも関係のありそうな、ストレスと睡眠ですが、
ストレスチェックに、睡眠に関する質問はあるでしょうか?
あります。
厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」には、
「よく眠れない」
という質問があります。
では、ストレスチェックを受ければ、従業員の睡眠の状態もわかるのでしょうか。
答えは、「少しはわかる。でも、それだけではわからない」です。
ストレスチェックにも「睡眠」の質問はある
標準的な57項目のストレスチェックは、大きく、
仕事のストレス要因
心身のストレス反応
周囲からの支援
仕事や家庭生活への満足度
などから構成されています。
「よく眠れない」は、このうち心身のストレス反応を尋ねる項目の一つです。
これは、とても重要な質問です。
仕事のストレスが強くなれば、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることがあります。
実際、日本人労働者を対象とした研究でも、
職業性ストレスと不眠との関連が報告されています。
約8,700人の日本人労働者を調べた研究では、高い職業性ストレスと不眠との関連が認められました。

2024年5月第97回産業衛生学会総会で、
「ストレスチェック結果を用いた長時間労働、自覚的不眠感、ストレス反応の関係」
について発表しました。
前月残業時間が45時間以上だと、同45時間未満の場合より、
2.1倍(2018)および1.8倍(2020)、高ストレスになりやすく、
「よく眠れない」の回答が「4. ほとんどいつもあった」だと、
それ以外の場合より3.3倍(2018)および4倍(2020)、
高ストレスになりやすいことがわかりました。
残業時間と自覚的不眠感は独立して、高ストレスと関連していました。
つまり、
つまり、仕事のストレスと『眠れない』ことには、確かな関連があります。
という経路は確かにあります。
でも、ここで話は終わりません。
「よく眠れない」だけでは、何が起きているのかわからない
睡眠の問題には、いろいろあります。
寝床に入っても、なかなか眠れない。(寝付くのに時間がかかる)【睡眠潜時遷延】
夜中に何度も目が覚める。【中途覚醒】
予定より早く目が覚めて、その後眠れない。【早朝覚醒】
十分眠った感じがしない。【熟眠感の欠如】
そもそも睡眠時間が足りない。【睡眠不足】
平日と休日で睡眠時間帯が大きくずれている。【社会的時差ボケ】
昼間に眠い。【日中の眠気】
これらは、全部同じ「睡眠の問題」ではありません。
特に重要なのが、
「眠れない」と「眠い」は違う
ということです。
夜によく眠れない人が、必ず昼間に強い眠気を感じるわけではありません。
反対に、本人は「よく眠れている」と思っていても、昼間に強い眠気が出ていることがあります。
睡眠不足だけではなく、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れていることもあります。
だから、「よく眠れない」という一つの質問だけから、その人の睡眠状態を評価することはできません。
日中の眠気は、仕事にも関係する
会社にとって、もう一つ見逃したくないのが「日中の眠気」です。
2025年に発表された、日本の日勤労働者17,963人を対象とした研究では、
日中の眠気がある人
不眠症状がある人
その両方がある人
どちらもない人
を比較しています。
その結果、日中の眠気だけがある人も、不眠症状だけがある人も、
睡眠の問題がない人に比べてプレゼンティーイズムが悪化していました。
そして、不眠症状と日中の眠気の両方がある人では、
さらにプレゼンティーイズムが悪化していました。
これは企業にとって、とても大事な話です。
「眠れていますか?」
だけでは見つからない問題があるからです。
ストレスと睡眠は重なる。でも同じものではない
ストレスと睡眠には強い関係があります。
仕事のストレスが睡眠を悪くすることもあります。
睡眠不足により、認知機能の低下を介して、ストレスへの耐性は減ります。
睡眠が悪くなれば、疲労や気分、集中力にも影響し、
それが仕事のストレス反応として現れることもあります。
日本のオフィスワーカー2,899人を対象とした研究では、
仕事のストレス要因、心身のストレス反応、睡眠障害の
それぞれがプレゼンティーイズムと関連していました。
さらに、仕事のストレス要因や社会的支援は、
睡眠障害やストレス反応を介してプレゼンティーイズムにも関連していました。
つまり、
ストレス
睡眠
仕事のパフォーマンス
は、それぞれ独立したものではなく、互いに関係しています。
だからこそ、一つだけを見るのではなく、一緒に見る意味があります。
夜の睡眠と、昼の覚醒を分けて見る
心陽のX-check(クロスチェック)は、法定ストレスチェックに加えて、睡眠を測定します。
不眠の程度を見るAIS(アテネ不眠尺度)。
日中の眠気を見るESS(エプワース眠気尺度)。
さらに平日と休日の睡眠時間や生活リズムから、社会的時差ぼけ(Social Jet Lag)も確認します。
つまり、
夜、眠れているか。
昼、起きていられるか。
両方を見るのです。
さらにWHO-HPQなどを使って仕事のパフォーマンスを確認し、
オプションではPVT(精神運動覚醒検査)によって注意力や覚醒レベルも測定します。
ストレスだけを見るのではなく、
ストレス × 睡眠 × 覚醒 × 生産性
をクロスして見る。
それがX-checkです。
「高ストレスではないから大丈夫」とは限らない
ストレスチェックは、とても大切な制度です。
でも、その目的は睡眠障害を診断することではありません。
「高ストレスではなかった」
という結果だけで、
「健康上の問題はない」
「仕事のパフォーマンスにも問題はない」
とは言えません。
夜、眠れない人もいます。
昼間、眠い人もいます。
睡眠時間そのものが足りない人もいます。
生活リズムがずれている人もいます。
そして、その背景には、仕事だけではなく、治療できる睡眠障害が隠れていることもあります。
ストレスチェックを、ストレスだけで終わらせない。
働く人が、夜によく眠り、昼によく目覚めて働けるところまで見る。
