株式会社心陽
最終更新: 2026/9/20

インフルエンザワクチン古いコラムの整理

古いデータですが、1996年の日経新聞のデータによると、企業生存率は1年後60%、3年後38%、5年後15%、10年後は5%だといいます。
ものすごーく乱暴にいうと、5年で3分の1程度ですね。
この乱暴さを用いた計算で、弊社が15周年を迎える可能性は10%程度になります。

というコラムを5年目に書いていたのを発見、無事に16年10月目を迎えそうです。

世界的にも創業100年を超える企業は非常に珍しいのですが、
世界中の100年企業のうち、80%を日本企業が占めます。

日本に老舗企業が多いのは日本の産業、もっと平易にいうならば商売が、日本的な商業道徳の上に成り立っているからだろうと思います。
石門心学が大好きな私は「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方よしや「実の商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり」などの言葉をしばしば引用しますし、「セルフケアで叶える社会貢献」を提唱しています。
セルフケアをするのはエゴではなく、まずは自分が自分の唯一最高の主治医であると知って、相手のため、企業のため、社会のために自分の心身の健康に留意します。

自らが健康であればこそ、充分のパフォーマンスを発揮することができ、まずは社員が健康である前提でマネジメントされた社内業務をしっかりこなすことができ、結果、企業の生産性を上げることができるのです。

労働法には、「自己保健義務」が記されています。
自らの健康を保ち、万が一、疾病を発症した際には治癒努力に努めることが、労使関係においても、社員の義務でもあるのです。
不易と流行のバランスをとり、各社員が自己保健義務を守り、しなやかな革新で強固な伝統を守る両輪経営の文化が日本の老舗企業を支えています。

社員を第一に考える日本の社長の美しい姿勢

まだまだ老舗ではないけれど、創業15年を迎えた企業、創業以来、会社の発展に尽くしてくれた社員たちにこのたび、三つ星レストランでの食事、または高額セミナーをプレゼントしました。

社員は生まれて初めての、メディアで知ってはいるけれど一生縁のないと思っていたごちそうに、大感激&大満足。
明日からもがんばるぞ! この会社に勤めてよかったと、気持ちを新たにしたのでした。

食事に興味のない社員には、2日間で88,000円のモチベーションセミナーの受講がプレゼントされました。(もちろん勤務として計上)
参加者に刺激を受け、理にかなった講義を聴き、他業種の参加者と切磋琢磨しながらワークショップに参加、充実した2日間を過ごしました。
当日は友達みんなにSNSでどれだけすばらしいセミナーかを宣伝し、講習後に獲得できる未来の自己効力感にワクワクし、自分は生まれ変わったのだという興奮で夜も眠れませんでした。

はじめてインフルエンザワクチンを接種したわけ

この話は、当院で接種してくださった28歳の青年が教えてくれたのですが、
彼は元来、健康で、生まれたこの方、大きな病気どころか、風邪で会社を休んだ記憶もありません。
所属する営業部の部長は、「まず這ってでも来い。そのあと、俺がちゃんと帰してやる」と豪語しており、
「風邪を気合いで治せないヤツはたるんでる」というのが口癖です。

「インフルエンザにかかったら休まなきゃいけないんですよね?」と部下に問われると
「インフルエンザの診断は医療機関じゃなきゃできないんだから、医療機関に行かなければいいんだよ」と答える始末です。
(ある意味、かなり正確にわかってらっしゃる)

昨日のコラムでお伝えしたように、感染者は欠勤するほうが会社はトクをします。

インフルエンザにかかったら苦しいということを知ると、人は翌年、ワクチンを受ける傾向があります。

生まれてから一度もかかったことのない、強靱な免疫力を持つ彼がなぜ、接種を希望した理由は、
それは、今年、彼は結婚し、奥様はめでたく妊娠、妊婦は接種が受けられないので、
愛する家庭に絶対にウイルスを持ち込みたくないという一心で、行動を変えたのです。

妊婦は受けられますし、むしろ受けてほしいのですけれどね。

フルショットオンサイトのすすめ

Improving Influenza Vaccination Rates in the Workplace

インフルエンザは世界で最も身近な、ワクチンで予防できる疾患です。

インフルエンザによるアメリカの年間医療機関治療患者数は約226,000人、年間36,000人が死亡しています。

日本では推定患者数が10,000,000人、死亡者数は10,000人程度です。

いうまでもなく、インフルエンザの感染が死につながる多くの人は赤ちゃんや高齢者で、働き盛りの人々が重篤になるのはまれです。

20歳から64歳までのアメリカ人のうち、半分以上がワーカーです。日本でもそうですね。
感染すれば体が弱り、6日間は休業し、元通りに回復するのに2週間はかかります。

アメリカではインフルエンザによるアブセンティーズムがのべ70,000,000日にも及び、16,300,000,000ドルの損失をもたらしています。

ざっと1/3する雑な方法で、日本では2300万日、1.6億円になります。

だからこそワクチン接種、特に医者の出張による職場での休憩時間を利用したワクチン接種(フルショットオンサイト)は推奨されるべき。

18歳から49歳までのワーカーの3分の1、50歳から64歳のワーカーの5分の1は職場でインフルエンザワクチンを受けていて、予防接種の場として、職場がたいへん適していることは明白です。

2004年のリサーチでは、北米の70%の企業がオフィスでの接種機会をセッティングしていました。
とはいえ、無料で職場で受けられるワクチンの接種率はまだまだ高いとは言えません。
1,000社にわたる調査で、50%以上の接種率を達成した企業は18%というサビシイ結果でした。
従業員1000人以上の54社対象の調査でも50%以上の企業は15%(8社)にとどまりました。
医療職ですら、ワクチン接種率はたった42%でした。

非接種の理由は健康な人はワクチンを受ける必要がないという思い込みや、医者の推薦・啓蒙不足、副反応への不安、医者があまり顔を出さないこと、針がコワイなどでした。
一方で、接種の理由はアクセスの好さとお得感であり、これは企業費用負担による出張接種が最適だと示唆します。

昨シーズンに本人や同僚がインフルエンザにかかった場合は接種のきっかけになります。
したがって、こんな計画が望ましいとされています。

(1)職場のインフルエンザ接種の有用性や便利さを宣伝し、推奨する

(2) 副作用、費用が高い、不便などが少ないことを強調する

(3)インフルエンザ・ワクチンを受ける習慣・企業風土の醸成

これはよく引用するこちらのヘルスプロモーションプログラムの条件に当然ながらよく似てますよね。


HEALTH PEOPLE 2010
1.健康教育
 ・情報普及と認識構築に沿ったスキルの成熟
 ・ライフスタイルの行動変容
2. 健康文化の醸成
 ・組織特有の健康行動への期待を反映
 ・健康行動を進めるポリシーの策定
 ・ポリシーを実施できるような社会的かつ身体的なサポート環境
3. 組織利益・人的資源インフラ・健康&安全第一環境の三つ巴
4. ヘルス・プロモーションプログラムと従業員支援プログラムのリンク
5. カウンセリングと教育によるフォローアップスクリーニングによる事後措置
 ・メディカルサービス利用の最善策提案
Benchmarking best practices inworkplace health promotion.
(1) ビジネスとプログラムのリンク
(2)重役へのサポート
(3)何年かにわたる戦略的な計画
(4)ゴールと目的の進行状況を社員が把握
(5)広範囲にわたるプログラムの多様性
(6)ハイリスク群の効果的な同定
(7)より高い参加率を導く、プログラム参加意欲の高い社員へのインセンティブ
(8)アクセスしやすさ
(9)効果的なコミュニケーション
(10)効果の評価
O’Donnell M, Bishop C, Kaplan K. Art Health Promot Newsl. 1997;1:12.

さて、結局このリサーチでは、フルショットオンサイトのショットレイトをあげるのには、以下の3つと結論付きました。

① 点鼻か注射が選択できること
② おおげさな宣伝
③ インセンティブ

2017年11月11日 先達のありがたみ

さて、本日は本サイトのフルショットオンサイト推奨について、大先輩からたいへんありがたいご意見をいただきましたので、うれしさのあまり、共有いたします。
ご意見下さる先達に恵まれるというのは途方もない財産です。特に異端児である私にとっては身に余る幸せです。
40年以上の医師歴、20社以上の産業医のご経験、私のような若輩の学会発表に真摯にお声をかけて下さった、尊敬する大先輩です。
掲載の許可は得ておりますので、ご心配なく。

2026年注:発症のアウトカムが抗インフルエンザ薬処方なんですね、私は抗インフルエンザ薬を使わないので、発症のアウトカムのデザインのせいかもな、と思いました。

先輩からのお便り

心陽では「インフルエンザのワクチン接種」を推奨していますが、私はインフルのワクチンはほとんど効果がないと思っています。
従業員数1500余名の企業で2000年からワクチン接種を推奨してきましたが、従業員からは予防効果への疑問が提示されました。
そこで2014年、2015年の2年にわたり、インフルエンザの発症者を接種者と非接種者で比べてみたところ、有意な差はないことがわかりました。
2014年は接種者:非接種者のインフル発症率の割合は4:5とほんのわずかな差(有意差なし)で、2015年は10年に一度の抗原ドリフトが生じ、接種群の方がわずかに発症者が多い(有意差なし)という逆の結果でした。
両者に共通していたのは40歳未満の発症率が高く、40歳以上では低いという傾向でした。
この時からワクチンの効果に対して疑念を持ちました。
その後も健保の協力も得て研究と分析を続けましたが、接種の有無のみならず、性別、年齢、交替勤務の有無、喫煙習慣の有無も含めて発症への相関関係を回帰分析しましたが、接種が予防に寄与しているデータは4年連続して得られませんでした。
11月に接種して、同年12月から翌年3月までのレセプトで抗インフルエンザ薬を処方された方を発症者としました。
今は各企業にワクチン接種を勧めていません。医者の儲けには効果はあるが、インフル予防には期待しないように言っています。
ただ、このことで小児への接種や慢性疾患を有する成人への接種まで否定するつもりは全くありません。
むしろ臓器障害を有する方は積極的に行った方が良いと今も信じています。

返信

インフルエンザワクチンに関するご意見もありがとうございます。
大変参考になります。
予防の効果を測定することは基本的には不可能なので、
「インフルエンザワクチン接種の感染予防効果」について議論するのは無意味だとは思います。
私は職場の集団ワクチン接種をお勧めしていますが、インフルエンザの感染率を減らすためではありません。
組織のヘルスプロモーションイベントとして非常にわかりやすいというのが一番です。
従業員全員と簡単な言葉を交わせるのも有意義だと感じています。
ワクチンの感染予防効果について、ご質問を受けた場合には、効果を証明する手立てがないと答えています。
ただし、ホームページのコラムでも触れておりますように、接種後の抗体価についてはデータがあります。
とはいえ、抗体価と感染の関係も尿酸値と痛風程度の相関です。
昨年は約30社をまわり、約700人に接種を行いました。
もちろんインフルエンザにかかった従業員もたくさんおりましたが、
軽症で済むので、皆、今年も打とうと思うようです。
感染予防効果については、先生のご指摘の通り、判断はできませんが、
健康に関する組織風土の醸成と発症時の軽症化に関しては有効と考えています。
少なくとも健康診断よりは意味があると考えます。
先生と同じように、健康診断で受益するのは健診センターだけと、私もいつも言っています。

インフルエンザワクチンを接種したから、絶対にインフルエンザに罹患しないわけではありません。

健康診断にしろ、インフルエンザワクチンにしろ、タダだから惰性で受けておく、というのは感心しないし、それではなかなか受益できません。

検診を受ける、ワクチンを受けるという能動的な健康好行動を自らの意思として、自分のため、家族のため、会社のため、社会のためにしっかりと選択してほしいのです。



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