株式会社心陽
健康経営

眠れないAI時代、スリープヘルスプロモーションは職場からという新常識!

勤務スケジュールの予測可能性が不安定であるほど、不眠症状が増える

Association between unpredictable work schedule changes and sleep disorders among wage workers: Evidence from national working conditions surveys in Korea and Europe

「勤務スケジュールの予測可能性が不安定であるほど、不眠症状が増える」という研究。

変更が直前になるほど、不眠症状が増える

  1. 数週間前に勤務が決まる

  2. 数日前に決まる

  3. 前日に決まる

  4. 当日に突然変更される

という順番で、不眠症状がきれいに増えていく(dose-response relationship)。

勤務変更の「有無」ではなく、
その変更を、「どれだけ早く知らせてもらえるか」が、
健康要因になっている。

ヨーロッパより韓国で悪影響が強い

  • 韓国では、その影響が約2.5倍

  • ヨーロッパでは、約1.8倍。

  • 地域差そのものも統計学的に有意。

考察では、韓国で悪影響がヨーロッパより強い理由として、

  • 長時間労働文化

  • 上司からの急な指示

  • 労働者の裁量が少ない

  • シフト規制がヨーロッパほど整備されていない

などを挙げている。

韓国はOECD加盟国中、平均睡眠時間が日本に続いてワースト2位。

日本と韓国だけが、8時間未満。

ヨーロッパでは、EU Working Time Directiveなどにより、勤務間インターバルやシフト管理が比較的厳格。

勤務の予測可能性についての労働者の権利が、制度としても、文化(規範)としても、保証されている背景がある。

心陽では事あるごとに、
制度によって守るべきは労働者の健康ではなく人権である
と主張してきているが、これがILOを中心とするヨーロッパの考え方で、
厚生労働省の感覚は、国際的な水準と少しズレている。

日本や韓国では、上司の無茶に振り回されるのをよしとする文化があるとは言えないか?

産業医面談で健康上の課題が確認されなければ、不確実なタイムマネジメントが許されるのか??

長時間労働者より残業のない人のほうが悪影響が強い

韓国では「長時間労働者よりも、残業のない人で関連が強かった」という逆説的な結果も示唆的。

長時間労働者では、そもそも普段からタイムマネジメントが不安定、予測可能性の低い労働環境なのだろう。

私の研究でも、残業があって「よく眠れない」ことが「ほとんどなかった」群より、残業がなくて「よく眠れない」ことが「ほとんどいつもあった」群のほうが、心身のストレス反応がずっと強かった。

職場が予測可能な働き方を提供するという最大の支援

最高に面白い論文で、私の普段の主張にズバリとハマった。

それはすなわち、企業が従業員に与えられる最高の支援は、

「公正で予測可能な働き方を提供すること」

という主張。

健康経営というと、施し的な福利厚生施策が好まれるけれど、実は手続き正義が最も重要であるということ。

ヘルスリテラシーを高めることも、水素水のサーバーを買うことも、空気清浄機を買うことも、エビデンスはない。

従業員のスリープヘルスを増進しようというと、
ブルーライトを避けるなど、
職場じゃなくてもできる個人へのリテラシー向上が注目されがち。

睡眠支援のつもりで、ウェラブルデバイスを配ってみたけど、
その効果をどう定量していいかわからないというのもよくある話。

この研究では、勤務予定の通知というごく当たり前の組織運営の改善が、睡眠障害と量反応関係を示した。

こちらの総説「Sleep and organizational behaviour: Implications for Workplace Productivity and Safety」も、ぜひ紹介したい。

眠れないAI時代、従業員の人権を守るため、職場が正義を示すときだ。

まさに、睡眠マネジメント

Workplace Interventions to Promote Sleep Health and an Alert, Healthy Workforce は、
ややエビデンスは弱いものの睡眠を尊重する文化への転換を提言。

会社が社員の生活を予測可能にすることも、立派な睡眠対策。

「会社の正義」こそ、健康経営の土台であり、睡眠マネジメントの基盤。

高価な福利厚生より、まずは公平で予測可能なルールを整えること。

勤務予定を早めに伝えるなんて、すごくシンプルな睡眠施策だけど、できている?

健康経営度調査の「睡眠障害や、業務中の眠気による生産性の低下予防」の7項目目の「その他」に、
正々堂々、「予測可能なマネジメント」と書ける企業は、かっこいい。

睡眠を守る最初の介入は、睡眠教育ではなく、組織運営そのもの。

「睡眠は個人の努力だけではなく、職場環境の問題」

眠れないAI時代、スリープヘルスプロモーションは職場からという新常識!

この記事をシェアする