
労働安全衛生法をわかりやすく解説!最新の法改正と健康経営への活かし方
労働安全衛生法をわかりやすく解説! 企業が知るべき基本と目的
労働安全衛生法は、1972年に労働基準法から分離独立する形で制定されました。職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。
この法律では、労働災害を未然に防ぐための危害防止基準の確立や、責任体制の明確化などが定められています。企業はこれらのルールを正しく理解し、適切に運用することが求められます。
【株式会社心陽CEO 石田陽子のアドバイス】
法人格や事業者が守るべき法律は無数にあり、労働安全衛生法は、そのすべての責任を事業者が引き受けなければならない内容であるにもかかわらず、専門性がなければ意味のわからない項目ばかりという、経営者泣かせの法令と言えるでしょう。
顧問弁護士や社会保険労務士がいても、経営の本丸ではないために詳しくない方が多いです。
労働安全衛生法の番人ともいえる専門職が労働衛生コンサルタントで、キャリアコンサルタントが国家資格になるまでは、日本の法令で定められる唯一の国家コンサルタント資格でした。
産業医と異なり、労働衛生コンサルタントは、労働安全衛生法第83条で「労働衛生コンサルタントは、事業場の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。」とすると定められています。
労働安全衛生法の解読に、他に得意なこと、自分にしかできないことがたくさんある経営者の時間を費やすのは無駄です。
優秀な労働衛生コンサルタントをブレインとして抱えましょう。
株式会社心陽は、労働衛生コンサルタント(保健衛生)石田陽子が所属する労働衛生コンサルタント事務所です。
労働災害の防止と快適な職場環境の形成
労働安全衛生法は、労働災害を未然に防ぐための具体的な基準や体制づくりを事業者に求めています。単なる事故防止にとどまらず、疲労やストレスを感じにくい「快適な職場環境」の形成も重要な目的の一つです。
快適な職場環境づくりに取り組むことは、労働者のモラール向上につながります。結果として、企業の生産性を高めることにも大きく貢献します。
労働基準法との違いは「安全確保」か「最低条件」か
労働基準法は、賃金や労働時間など労働条件の「最低基準」を定め、労働者を保護するための法律です。一方、労働安全衛生法は、職場における「安全と健康の確保」に特化し、災害を未然に防ぐ体制を作ることを目的としています。
労働基準法だけでは労働災害を十分に防止できなかったという歴史的な背景から、労働安全衛生法が独立して制定されました。両者の役割の違いを理解しておくことが大切です。
従業員数で変わる! 労働安全衛生法に基づく事業者の義務

労働安全衛生法では、事業場の「常時使用する労働者数」に応じて、事業者の義務が細かく規定されています。この労働者数には、正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員なども含まれる点に注意が必要です。
従業員数の節目となる主な基準は以下の通りです。
- 1人以上:健康診断や安全衛生教育の実施
- 10人以上:安全衛生推進者などの選任
- 50人以上:産業医の選任や衛生委員会の設置
企業が対応すべき安全衛生管理の義務は、規模が大きくなるにつれて段階的に増加していきます。
1人以上の事業場:健康診断と安全衛生教育の実施
同居の親族のみを使用する事業や家事使用人などの例外を除き、従業員を1人でも雇用している事業場は労働安全衛生法の適用対象となります。事業者は、雇入れ時や定期的な健康診断を実施する義務を負います。
また、雇入れ時や作業内容の変更時には、業務に必要な安全衛生教育を必ず実施しなければなりません。これらは規模に関わらず、すべての企業に求められる基本事項です。
10人以上の事業場:安全衛生推進者などの選任
常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者(または衛生推進者)を選任する義務があります。業種によってどちらを選任するかが異なります。
選任された推進者は、職場の安全衛生に関する実務を担当します。労働者の健康障害を防止し、安全な環境を維持するための重要な役割を担います。
50人以上の事業場:産業医の選任と衛生委員会の設置
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医および衛生管理者を選任する義務が新たに発生します。また、労使が一体となって健康障害防止などを審議する「衛生委員会」を設置し、毎月1回以上開催しなければなりません。
さらに、労働者に対するストレスチェックの実施と、その結果を労働基準監督署へ報告することも義務付けられます。
労働安全衛生法改正の重要ポイントと今後の動向
2025年5月に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布されました。この改正は、多様な人材が安全に安心して働き続けられる職場環境の整備を目的としています。
2026年から2028年にかけて、個人事業主への適用拡大やストレスチェックの義務化拡大などが段階的に施行される予定です。企業は最新の動向を把握し、計画的に対応を進める必要があります。
2028年施行!50人未満の事業場へのストレスチェック義務化拡大
2025年の法改正により、これまで努力義務だった従業員数50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務化されます。施行時期は遅くとも2028年5月まで(2028年4月1日施行予定)とされています。
メンタルヘルス不調による労災認定の増加が背景にあり、小規模事業場でも早急な体制整備が求められます。外部委託の活用なども視野に入れ、準備を進めましょう。
個人事業主(フリーランス)等への安全対策の適用拡大
2026年4月より、これまで保護対象外だった個人事業主(フリーランスや一人親方など)も、労働安全衛生法の保護対象として明確に位置づけられます。労働者と同じ場所で働く個人事業主に対し、元方事業者(発注側)は安全配慮義務を負うことになります。
また、個人事業主自身にも安全衛生教育の受講や、業務上災害の報告(2027年1月施行)などが新たに義務付けられます。
化学物質の自律的管理の強化と高年齢労働者への配慮
化学物質管理については、危険性・有害性情報の通知(SDS)義務違反に対する罰則が設けられるなど、事業者による「自律的な管理」が強化されます。また、2026年4月からは、高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置を講じることが事業者の努力義務となります。
高齢者の労災件数が増加している現状を踏まえ、年齢特性に配慮した作業環境の改善が強く求められています。
労働安全衛生法違反時の罰則と企業が負うリスク

労働安全衛生法に違反した場合、企業は刑事罰、行政処分、民事上の損害賠償といった複数の重大なリスクを負うことになります。違反が発覚すると、労働基準監督署による指導や勧告が行われます。
リスクの種類 | 具体例 |
|---|---|
刑事罰 | 懲役や罰金(書類送検) |
行政処分 | 使用停止命令や作業停止命令 |
民事責任 | 損害賠償請求 |
社会的責任 | 企業名の公表や信用の失墜 |
悪質なケースでは企業経営に深刻なダメージを与える可能性があるため、日頃からの適切な管理が不可欠です。
労働基準監督署による是正勧告と罰則規定
労働基準監督署の立ち入り調査(臨検)で法令違反が確認されると、「是正勧告書」が交付されます。是正勧告自体は行政指導ですが、無視して改善を怠ると、書類送検や刑事罰に発展する恐れがあります。
刑事罰としては、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金などが科される場合があります。企業は指定された期日までに違反状態を解消し、是正報告書を提出しなければなりません。
安全配慮義務違反による損害賠償と社会的信用の失墜
労働災害が発生し、企業に「安全配慮義務違反」が認められた場合、労災保険の給付とは別に、労働者や遺族から多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。過去には、過労死やメンタルヘルス不調による事故で1億円超の賠償命令が出されたケースも存在します。
さらに、違反や事故が報道されると取引先や顧客からの信頼が低下し、社会的信用の失墜や人材確保の困難に直結します。
法令遵守から健康経営へ! 株式会社心陽が提案する実践的アプローチ
株式会社心陽は、臨床医療と公衆衛生の専門性を活かし、法令遵守から高度な健康経営までを一気通貫で支援しています。従業員の健康管理を単なるコストではなく「人的資本への投資」と捉え、生産性向上につなげるアプローチを提案しています。
企業ごとの課題に合わせ、睡眠やストレス対策などの具体的な施策をオーダーメイドで提供し、持続可能な職場環境づくりをサポートします。
【株式会社心陽CEO 石田陽子のアドバイス】
法的リスクを回避するためには、上流の法令を遵守することが基本です。
株式会社心陽の契約は、クライアントの法令遵守を条件としております。
もちろん、知らない法令は守ることができませんので、法令遵守の穴がないよう、徹底的な現状把握から始めるのが、株式会社心陽のコンサルティングの特徴です。
従業員の健康管理は「正解が一つではないからこそ、判断が難しい」領域です。
しかし健康経営が治療と就業の両立が当たり前になりつつある今、産業保健職には「個別対応の質」がより求められています。
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というような謳い文句は、多くの現場担当者の気持ちに寄り添います。
しかし、そうそう!と思って、ウェビナーを視聴しても、「個別対応の質」は上がりません。
多くの産業保健支援ベンダーはこういう「場当たり対応」でお茶を濁します。
従業員は多様なので、同じルールをあてはめるだけで個別対応になります。
麻酔科には、「滴定」という他の診療科にはない作業があります。
麻酔に使用する薬物はほとんど、有効濃度の幅が狭い(足りないと効かないし、多いと死んでしまう)ので、
この人にとっての適量はどれくらいかを厳密に判定する作業です。
多くの内服薬は、80歳35kgのおばあさんと、20歳100kgのムキムキお兄さんに、同じ「成人」用量を処方しますが、
それを麻酔関連薬でやると、たいへんなことになります。
同じ薬でも使い方を変えなければいけません。
多様な従業員に多様な対応をすることは、質の高い個別対応ではなく、属人的な場当たり対応です。
すべての従業員に対して、同じルールを当てはめようとする方向性が、結果として個別対応の質を上げる解決策なのだと、ご理解ください。
睡眠健診で従業員のパフォーマンスを最大化
心陽が提供する睡眠健診は、自宅でいつもの環境のまま受けられる簡易検査を活用した画期的な睡眠健診です。睡眠時無呼吸症候群などのリスクを他覚的・自覚的にスクリーニングし、睡眠の質を可視化します。
検査結果をもとに具体的な行動変容を促すことで、プレゼンティーイズム(健康問題による生産性低下)を解消し、従業員のパフォーマンスを最大化します。
2026年4月稼働のAI搭載「X-check」でストレスチェックを高度化
心陽は、2026年4月にAIを搭載した独自のストレスチェックシステム「X-check」の本番稼働を開始しました。従来のストレスチェックが一部の高ストレス者抽出に偏りがちだった課題を解決します。
法定の要件を満たしつつ、AIによる高度な分析で全従業員の行動変容と職場環境改善を支援し、「心理社会的集団免疫」の獲得を目指すシステムです。
産業医・公衆衛生学博士の知見を活かした一気通貫の支援
代表の石田陽子医師は、麻酔科専門医としての臨床経験に加え、公衆衛生学博士(DrPH)や労働衛生コンサルタントの資格を持つ専門家です。医療と公衆衛生の「二刀流」の知見を活かし、産業医業務から健康経営コンサルティングまでをトータルでサポートします。
課題の発見(はかる・わかる)にとどまらず、具体的な改善(かわる)までを一気通貫で伴走支援できるのが心陽の最大の強みです。
労働安全衛生法を正しく理解し、わかりやすく社内に浸透させよう
労働安全衛生法は、従業員の命と健康を守るための重要なルールであり、企業全体で正しく理解することが不可欠です。法令遵守を土台として、さらに一歩進んだ健康経営に取り組むことで、企業の社会的信用や生産性は大きく向上します。
専門家のサポートも積極的に活用しながら、わかりやすい形で社内に安全衛生の意識を浸透させていくことが求められます。
【株式会社心陽CEO 石田陽子のアドバイス】
法律の文言を知識として社内に広める必要は全くありません。しかし、従業員のために企業が法令を遵守する努力を怠っていないという姿勢を示すことはPOS(知覚される職場の支援)やPOJ(知覚される職場の正義)の増加を通して、職場の心理的安全性を高め、従業員のワークエンゲージメントや生産性を向上させることが明らかになっています。特に、複雑な法令を遵守するために簡単な職場制度を採用していることを示すと、従業員にとって最も評価の高い職場の手続き的支援を知覚させるので効果的です。このように組織設計や社会関係資本が人的資本に浸透して文脈効果を発揮する状態を心陽では、職場の心理社会的集団免疫とよんでいます。