オンライン診療普及のために企業ができること

先日、経団連ヘルステック戦略検討会で行った講演が、経団連タイムスに掲載されました。 来週土曜日、6月11日午前11時から、その講演を元に、ZOOMで発表しますので、ぜひ、Peatixでご登録の上、ご視聴くださいますよう、お願い申し上げます。

再演に当たり、経団連の提言、「Society5.0時代のヘルスケアⅢ」からの引用部分を大幅に省いてしまったので、その辺に期待してくださっていた方のために、こちらに記録しておきます。 提言の内容をあらためて見ていきます。 まず、オンライン診療の社会的意義ですが、待ち時間の短縮や、通院負担の軽減、医療従事者の負担軽減などの生産性向上は大きいですね。患者ごとの多様なニーズに答えることも可能だと思います。 最後の、難病、希少疾患の適切な診断・治療は、まずは患者人口が多く、治療が確立されている生活習慣病での実績を重ねて、国民の健康増進に資すると証明してからだと思います。 2020年、オンライン診療の対面診療に対する非劣性の科学的エビデンスを共著で出しましたが、このような学術的な実績、患者体験の満足度などの社会的な実績を重ねてから、希少疾患や難病の通常診療に応用していくほうがいいでしょう。

当日、(3)D to P with DやD to P with N に関連した質問で出た、専門外の不慣れな医師による希少疾患や難病治療を専門の医師がサポートする可能性については、大きな意味がありそうです。希少疾患、難病は専門の医師も患者も少ないので、教育も進みません。多様な専門性の医師と典型、被典型患者と修行中の医師やその他の医療従事者、家族をDXで集めて、診療の自動化プロセスを増やし、リファーのタイミングへのヒントや D to P with D 機会の増大で、大きく進展するでしょう。

その場合にも、支払いの問題が残ります。専門性を生かしたコンサルテーションに対して適切な報酬を、国やご質問くださったような大手製薬メーカーなどが、支払っていくべきでしょう。 次に提言の内容を見ていきます。現在、オンライン診療にはまだまだ厳しい条件がついているのですが、制度化当初は、対面じゃないと医師の診察とは言えない、医師法第20条違反とすら言われてました。 五感を用いて診察しないと治療はできないとか、高齢者にはデジタルデバイスが使えないとか、批判ばかりが目立ちました。 オンライン診療をはじめた頃、患者の生活習慣の中にVIRTUALに入り込めるメリットに感動しました。診察室で五感を使うより、オンラインで五感を使うほうが、よほどリアルです。


新型コロナウイルス感染症の流行で、事態は一変し、国民の受診離れが進み、オンライン診療へのニーズが急拡大して、なし崩し的に特例措置が取られたことは、ご存知のとおりです。

特例措置のお陰で参入のハードルは下がっているのに、普及が進まない唯一最大の理由が、報酬だと考えます。診療報酬の評価を上げるという提言は、非常に解決力の高いものだと感じます。

それ以上に求められるのは、経営に関する開業医のマインドセットの変容です。 皆さんに、医療ではなく公衆衛生視点でのヘルスケアDXサービスを推奨していますが、私は開業医にも同じ呼びかけをしています。 開業医は医師であると同時に経営者で、手術室のように不自然な高度医療機関とは異なり、地域に根ざした公共の場としての役割があります。 皆さんは、医療は素人でも経営はプロです。開業医向けの経営指南パッケージのようなヘルスケアDXビジネスも、非常に面白いです。

③D to P with DやD to P with Nの評価も非常に大きな問題で、現在、時差を活かして世界でスペシャリストを共有するテレヘルスが進んでいますが、支払い方法がないという理由で日本は遅れを取っています。 日本の診療報酬制度は、そもそも医師の人件費が加味されていず、結果を評価されることもありません。皆保険制度にはメリットもありますが、社会の変化のスピードに改定が追いついていないと感じる場面が多いです。 この部分には質疑応答で、「グローバルテレヘルスについて」と「難病・希少疾患診療での活用について」ご質問がありましたので、世界で進んでいるTele-ICUの取り組みを紹介しました。以前のホームページに書いたコラムがこちらです。

遠隔診療と医師の働き方改革(1)Tele-ICU _ 本邦唯一、公衆衛生学と臨床医療に基づく健康経営コンサル
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⑤番の医療アプリの早期承認制度の新設については、せっかく解禁されたオンライン診療にすら手を出さない「医師の処方」がないと使えないアプリより、誰でも気軽にアクセスできるアプリのほうが公衆衛生に与える影響は大きいと思います。


その他の質問、「高血圧症VICに、高血圧症発症予防効果はあるのか?」については、試算によるとポピュレーションアプローチで高血圧の発症率が17%下がるので、「ある」と断言できると回答しました。同時に、発症の手前ギリギリの人への効果というよりは、公衆衛生的な効果と考えるべきで、ハイリスク群にはプラスアルファの介入が必要です。とはいえ、アウトカムとしてめざすのは高血圧症の発症ではなく、イベントの発症予防です。高血圧症を発症しても、適切な血圧コントロールでイベントを予防することは充分に可能なので、高血圧症の発症率をトレースすることに、あまり意味は感じません。また、予防効果を定量することは不可能です。

講演では、戦後、死因として心筋梗塞や脳卒中が顕在化したのは、寿命が伸びたためと説明しましたが、高血圧症という病気の概念と治療薬が出たのが、戦後だというのは、コラム、健康経営とポピュレーションアプローチ(2)Ver. 3に細かく書いてありますので、ぜひ、ご参照ください。

また、集団の血圧の平均値を下げると、高血圧症の発症が減るというエビデンスは、「予防医学のストラテジー―生活習慣病対策と健康増進」のローズ先生のお師匠が、大変な困難の末、出されたそうです。

講演では、集団の性質を平均で知ろうとするのは暴挙だと説明しましたが、こういう科学的エビデンスがあるので、血圧に関しては平均をターゲットにできます。


また、「高血圧症VICで治療拒否した従業員には強制するのか?」というご質問があり、「自費であろうと、保険であろうと、治療は強要できない」と回答しました。就業規則等のローカルルールとして、受診までは推奨できますが、その規則に違反したとしても、注意か戒告にとどまるものでしょう。従業員には自己保険義務がありますが、その手段を選択する自由もあります。

そして、未治療や治療中断の理由の多くは「拒否」ではありません。とりあえず、現在の未治療者への受診機会を与えて、それでも受診しない人には2SDの外向けに、特別扱いを考えるのげ賢明です。


以上、削った部分と質疑応答の抜粋でしたが、削ってないところのほうがおもしろいと私は思っているので、ぜひ、ご視聴ください。




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